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批評家、株式会社ゲンロン社長 東浩紀 マルチ能力の人が挑むゲンロンカフェという空間

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若くして世に出た批評家は文壇に見切りをつけ、新たな批評空間に可能性を見いだす。小さなつながりと、言論の可能性をどこまでも信じて。

思想や批評の世界にいながら、自ら経営にもタッチする。株式会社ゲンロンの事務室にて(撮影:今井康一)

この10年ほど、若手論客が相次いで登場した。彼らに共通するのは、サブカルチャーに詳しいこと、ネットを駆使して発言していること、そして東浩紀(あずま・ひろき)の影響を受けていることである。

東浩紀。哲学者・批評家、小説家。株式会社ゲンロンの代表取締役でゲンロンカフェの主宰者。

これまで彼のようなタイプの知識人はいただろうか。

若くして思想界に登場した俊英ということでは、浅田彰を連想させる。東は東京大学に在学中の1993年、『批評空間』誌に「ソルジェニーツィン試論」が掲載されてデビューする。初の著書『存在論的、郵便的 ジャック・デリダについて』が刊行されたのは27歳のときだった。帯には「東浩紀との出会いは新鮮な驚きだった。(……)その驚きとともに私は『構造と力』がとうとう完全に過去のものとなったことを認めたのである」という浅田彰の言葉がある。

国際大学グローバル・コミュニケーション・センターや東京工業大学世界文明センター人文学院などで教授職に就いていたこともあるが、2013年3月で早稲田大学文学学術院を任期満了で辞めたのを最後に、大学には勤務していない。

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