清山会医療福祉グループ代表・医師 山崎英樹 生活の中で支えていく認知症ケアの第一人者
認知症ケアは難しい。「脱拘束」の実践者は理想の介護を求め、仙台に小さな施設を開業した。17年の時を経て、地域に着実に根付いている。
高齢化の進展に伴い、認知症の人が増えている。症状が進むと精神科への入院が当たり前のように行われる。家族が困ったら病院へ。その病院では「身体拘束」や向精神薬の過剰投与が常態化している。
こうした風潮と一線を画し、診療所やデイケア施設(通いの介護施設)、グループホーム、ケアハウス、小規模多機能居宅介護所(通所と生活支援、宿泊を組み合わせた施設)など、高齢者とその家族にこまやかな対応をしている医療・介護グループがある。仙台市に拠点を置く、清山会だ。代表で精神科医の山崎英樹(やまざき・ひでき)は、「認知症のケアは在宅中心で、まずはデイケアで孤立を防ぐ。医療より介護。何よりも、関(かか)わりが大切です」と説く。
そもそも認知症は大脳の病変に起因し、後天的に知能が下がる障害だ。「老人呆けは精神障害」(日本老年医学会1969年シンポジウム)という古い疾病観にとらわれていたら、対応を見誤る。
清山会では外来診療で「症候学」(患者の訴えや診察所見から総合的に判断するアプローチ)にのっとった診断をして、せん妄や介護拒否といった急性の増悪症状があれば介護老人保健施設に受け入れる。そして落ち着いた人はグループホームに移ってもらい、普段の生活に近い環境で症状の安定を図る。あるいは自宅に戻って、通所や訪問の介護サービスを受けられるようにする。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録頂くと、週刊東洋経済のバックナンバーやオリジナル記事などが読み放題でご利用頂けます。
- 週刊東洋経済のバックナンバー(PDF版)約1,000冊が読み放題
- 東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
- おすすめ情報をメルマガでお届け
- 限定セミナーにご招待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら