11月8日に行われた米国大統領選挙では、日本外務省は民主党のヒラリー・クリントン候補(元国務長官)が当選すると考えていた。しかし、実際には政治家としての経験がまったくない共和党のドナルド・トランプ候補が当選した。大統領選挙前日の11月7日に杉山晋輔外務事務次官が安倍晋三首相に「大丈夫です。クリントンが逃げ切って当選します」と報告した。安倍首相や首相官邸幹部は、外務省が見通しを誤ったことに対して激怒したということだ。クリントンに当選してほしいという強い思いが、外務省の判断を誤らせたのである。
もっとも、日本だけでなく、EU(欧州連合)やオーストラリアなどもトランプの落選を望んでいた。なぜならこれらの諸国は、クリントンが当選し、現在の国際秩序が続いたほうが国益にかなうと考えていたからだ。他方、ロシア、中国、北朝鮮、イランなどはトランプの当選に期待していた。そうすることで、新たな国際秩序が生まれる可能性があり、自国の国益を増大する機会が生じるからだ。そして、11月17日に米国ニューヨークのトランプ・タワーで安倍首相がトランプと会談した。
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