世界をあっと驚かせた米国の大統領選挙。当選直後の懸念を吹き飛ばすように現在は株高に沸くが、トランプノミクスの中身はまだ見えず先行きは要注意だ。
写真:1980年代のレーガン政権を想起させるという指摘もある(The New York Times/アフロ)
来年1月、第45代米国大統領に就くドナルド・トランプ氏。多くの人がその人物像を知ろうと「トランプ本」を手にしている。特にビジネスマン時代の著作は、トランプ流の発想が垣間見え、興味深い。ある「トランプ本」はこんな書き出しで始まる。
「私は金のために取引をするわけではない。金ならもう十分持っている。(中略)私は取引をするのが好きだ。それも大きければ大きいほどいい。私はこれにスリルと喜びを感じる」(『トランプ自伝──不動産王にビジネスを学ぶ』ちくま文庫)
原著は1987年の出版だが、新大統領の発想の原点に「取引」(ディール)があることがよくわかる。
「メキシコが送り込むのは、ドラッグと犯罪とレイプ魔」
「20万人のシリア難民を受け入れると耳にしたが、そいつらは『イスラム国』かもしれない」
しかし、選挙中の発言も一種の取引なのだろう。選挙後は過激な発言が鳴りを潜め、安全運転に徹している。たとえば、撤回すべきだと主張し続けたオバマケア(医療制度改革)は、11月10日のオバマ大統領との会談後、「一部を引き継ぐ」とその主張をトーンダウンさせた。
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