トランプ氏側近とされるマイケル・フリン元陸軍中将と10月に面会し、今後のトランプ外交・安全保障政策の行く末を占うのが、外交・防衛通として知られる民進党の長島昭久衆議院議員だ。
衆議院議員(民進党)長島昭久
選挙結果は衝撃的だったが、その後の言動を見ると、なかなかの人だなという印象だ。逆に、トランプ氏の言葉を信じて投票した人が、トランプ氏の現実路線への転換を許容するのか心配になる。何を切って何を残すべきか。ビジネスマンとして、彼が培ってきたすべてを今フル回転させているのだと思う。
トランプ氏が自らの政策を修正したとき、トランプ氏を押し上げたうねりとどこまで整合がとれるか。うまく統治していくには、それくらい変身しないといけないかもしれない。現実路線にうまく転換できれば2年後の中間選挙、4年後の再選も見えてくる。
今年訪米した際に聞いた、トランプ氏をよく知るある専門家の評価は、クリントン氏はストラテジック(戦略的)。対するトランプ氏はトランザクショナル(取引的)だと。トランプ氏はまさにディーラーで、それが外交に転用されると大変なことになる。
内政を重視して外交はきちんとした人に任せるならいいが、日本にとって悪いシナリオは空白ができること。外交は中国やロシアに任せて放っておけとか、同盟関係を無視して、たとえば中国からの輸出を抑える代わりに、南シナ海は好きなようにしていいというような取引をされるのが怖い。トランプ氏が外交・安全保障についてどこまで主導権を握る意思があるかわからないが、外交や安全保障を自分で手掛けるほど関心があるとは思えない。その点オバマ氏と似ているかもしれない。
フリン元中将は日米同盟再構築を要求
11月に出た外交専門誌に、トランプ氏の外交アドバイザー二人の書いた論文が載っている。私もすぐに読んだが、「ピース・スルー・ストレングス」、つまり「力による平和」という言葉がタイトルになっている。これは誰が見てもレーガン時代の言葉で、トランプ氏自身もスタイルとしてはレーガン氏のようなことをやりたいと思っているのではないか。力による平和という言葉は、いわば現代共和党の原点だ。
レーガン氏は家族の価値だとか、古きよき米国の倫理的部分をすごく強調した。トランプ氏はそういうものを全部ぶったぎって、今さらレーガンかよ、となるかもしれない。だから、トランプ氏がレーガン氏のようになるかはわからない。
前述の論文はオバマ氏とクリントン氏のやったピボットやリバランスは表面的なもので、実態を伴っていないと指摘している。今の海軍力は第1次世界大戦以来最低、今の陸軍力は第2次世界大戦直前以来で最低、今の空軍力は創設以来、つまり戦後最低、そして、今の即応体制のレベルはここ20年で最低だといっている。それを実態の伴ったものにするという内容だ。
あちこち介入されるのも困るが、力による均衡の体制を米国が継続してくれるなら中国の台頭や北朝鮮、ロシアの動きも牽制できる。同盟国としては願ったりかなったりだ。
10月に来日したマイケル・フリン元陸軍中将も同じ路線だ。話題の一つは駐留経費の100%負担や核武装のこと。これは選挙キャンペーンの話であり心配するなと。ただしポジティブな意味で、同盟関係をリニューアルしたいと言っていた。
もう一つはロシア。日露関係が進展する可能性はあるが、オバマ政権は何度か懸念を表明した。フリン氏は日露関係の改善はいいことだが、プーチン氏は一筋縄でいく男ではない、と。三つ目がTPPの話で、トランプ氏はマルチ(多国間)の交渉は信頼していない、と話していた。






















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