FRB(米国連邦準備制度理事会)の動向を中心に米国経済をウォッチし続けるみずほ総合研究所の小野亮主席エコノミスト。今後の経済動向には大きく二つの道筋が考えられるという。
みずほ総合研究所主席エコノミスト 小野 亮
大統領選挙の結果が出た翌日以降、世界的な株式の上昇相場になったが、カギとなったのはトランプ氏の勝利宣言だ。物腰が穏やかで融和的な内容だったため安心感が広がった。これで市場が、トランプ氏の政策のいいところを見ようという流れになった。
具体的には大型減税、国防費とインフラ投資の増大で景気が押し上げられるという期待感がある。楽観主義に立つと、来年の議会は共和党の過半数支配でスムーズに進み、夏には2018年度予算が決まる。来年10〜12月には国防費がドンと増え、18年1月以降は減税も始まる。減税はブッシュ(子)政権時代のように遡及措置によって、来年夏から小切手で還付することもありうる。
減税と歳出規模だけで米国のGDP(国内総生産)を瞬間風速で約2%押し上げる。19年度も1%程度押し上げそうだ。
賃金上昇やドル高が進むが2年後にはガス欠状態に
オバマ政権から完全雇用という遺産を受け継いでいることも無視できない。これで景気対策が打たれれば雇用が一段と引き締まって賃金は上がり、トランプ氏の支持層である「忘れられた人たち」の所得も増えるだろう。
とすれば、あえて貿易の保護主義政策を打つ必要はないかもしれないと楽観論者は見ている。賃金上昇によるインフレを減殺するドル高をトランプ氏が容認すれば、長期金利は上がり、ドル高が進むだろう。1980年代のレーガノミクスを想起させる。
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