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政治・経済・投資 #危うし! トランプノミクス

「トランプ大統領」は健全な民主主義の証し 各界の識者に聞く(6) 渡辺 靖

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現代米国社会の分析に定評がある慶応義塾大学の渡辺靖教授は、トランプ現象には前向きな点もあると指摘する。

慶応義塾大学教授 渡辺 靖

わたなべ・やすし●1967年生まれ。97年に米ハーバード大学博士号(文化人類学)取得。英ケンブリッジ大学フェローなどを経て2005年から現職

トランプ氏優勢で開票作業が進む中、米国の知人の専門家からは悲鳴のようなメッセージがたくさん来た。一部の人は本当に怒っており、全体的に暗く、重苦しい雰囲気だ。

ただ、今の米国社会の現状に不満を抱く有権者がそれだけ多数いることは胸に突き刺さっただろう。エリートの側も、社会の現実に向き合わねばならないと反省すると思う。

選挙中、民主主義の価値の根源を否定するようなトランプ氏の発言が問題になったが、彼のような人とそれを支持する声が暴動やクーデターに訴えることなく平和裏に反映されて、権力移譲がなされることは民主主義が健全に機能している証しでもある。米国の政治史家リチャード・ホフスタッターが米国の反知性主義を指摘しているが、それは単に知性を否定することではなく、特定層が権力と知性を固定的に持つようになると、米国社会はそれに反旗を翻す傾向があるということだ。社会のシステムが固定化しないように、ある種のちゃぶ台返しが行われる。

米国は欧州を否定して創った国で、基本的に反エリート社会だ。トランプ現象ももしかすると、制度がある種の限界に達したときにガラガラポンする米国的ムーブメントの一環としてとらえられるかもしれない。

もっともそのトランプ氏自身から知性を感じないのも事実だ。裕福な家庭の出身だが、基本的に切った張ったの世界で生きてきた人だ。彼の経済顧問団を見ても、博士号を持っているような経済学者はごく少数しかいない。知識層との接点が少なく、そのあたりが高度な政策を設計するとき不安材料になるかもしれない。

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