不振にあえぐ“広告の王様”が、本拠地の日本で静かに進化を遂げている。
前期に3276億円もの純損失を計上し、2年連続で過去最大赤字を更新した電通グループ。業績低迷を受け、2001年の上場以来、初の無配に追い込まれた。
主因は、欧米事業の不振に伴う巨額の「のれん減損」だ。矢継ぎ早に買収してきた子会社で想定したような成果を生み出せず、24年12月期(国際会計基準)には、アメリカセグメントと、ヨーロッパ・中東・アフリカのセグメントに関連したのれんの減損損失を約2100億円計上。そして前25年12月期、両セグメントののれん減損は3961億円に膨張した。
海外では約3000人のリストラを断行。27年12月期に赤字市場をゼロにすべく、不振が続くオーストラリア・ニュージーランド地域でDX・コンサルティング事業を一部売却するなど、身を切る改革が始まっている。
「株電」が展開する現場力のすごみ
だが、その惨状とは裏腹に、絶好調なのが国内事業だ。成長著しいネット広告事業に加え、コンサル・DX領域の拡大も寄与し、25年12月期の売上総利益は4955億円(前期比6.1%増)と、5期連続で過去最高を更新した。
国内では、テレビ広告首位の代理店にして経営コンサルまで手がける中核事業会社・電通を筆頭に、伊藤忠グループとの非公開化が先日発表されたSIer(システムインテグレーター)の電通総研、ネット広告に強い電通デジタルやセプテーニ・ホールディングスなど、多種多様なグループ企業を傘下に抱える。
中でも近年は、電通と電通デジタルやセプテーニ・ホールディングスとの連携を深めており、マス・ネット広告の統合提案が顧客から強い引き合いを獲得。直近ではテレビだけでなく、ネット広告でも博報堂DYホールディングスやサイバーエージェントを押さえ、国内首位に立っている。
なぜ電通グループはこれほど国内で強いのか。その答えを語るうえで欠かせないのが、今なお「テレビ広告」を牙城として保つ中核子会社の電通、通称「株電」の泥臭い現場力だ。
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