頼みの「楽天市場」が失速、非常事態の楽天 アマゾンらの台頭に三木谷社長はどう手を打つ
20年目の節目を迎えた「楽天市場」の勢いに陰りが出ている。ライバルのアマゾンに加え、ヤフーやヨドバシカメラなどが次々と台頭。“非常事態”に三木谷浩史社長はどう手を打つか。
「今年に入ってから日本にいる時間が長くなっている」。楽天社員がそう語るのは、ほかでもない、三木谷浩史会長兼社長のことだ。
2020年に海外流通額比率50%を目指す──。EC(電子商取引)国内2強の一角、楽天は14年にそう宣言。人口減少でいずれシュリンクが避けられない国内市場への依存度を下げるため、海外事業拡大を経営の旗印に掲げてきた。
しかし、海外事業は思いどおりに運んでいない。15年時点の海外流通額比率は17%。頼みの「楽天経済圏」が海外では浸透せず、今夏にはECモール事業で英国とスペインから撤退。東南アジアでもインドネシアなど4カ国で事業を縮小した。
しかし、三木谷社長が国内での指揮に多くの時間を割くのは、海外苦戦を国内回帰で挽回したいという単純な構図ではない。国内EC事業が“失速”という非常事態に陥っているからにほかならない。
常時セールで客離れ ポイント還元が頼り
1997年に創業した楽天は近年、クレジットカードや銀行といった金融事業の収益貢献度を高め、金融会社の色合いを濃くしてきた。とはいえ祖業のEC「楽天市場」が経営の柱であることに変わりはない。15年は金融事業の営業利益が630億円である一方、楽天市場が主軸の国内EC事業の営業利益は960億円と貢献度で上回っている。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録頂くと、週刊東洋経済のバックナンバーやオリジナル記事などが読み放題でご利用頂けます。
- 週刊東洋経済のバックナンバー(PDF版)約1,000冊が読み放題
- 東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
- おすすめ情報をメルマガでお届け
- 限定セミナーにご招待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら