南シナ海での中国の強硬姿勢に、ASEAN諸国が不満を募らせている。王毅外相があえて高飛車に出るのは、国内での保身を考えているためだ。
7月25日、ASEAN(東南アジア諸国連合)外相会議がまとめた共同声明は、南シナ海問題について「国際法の順守の必要性」を強調した。一方、南シナ海における中国の領有権主張を退ける常設仲裁裁判所の判断には触れなかった。
中国の王毅外相は、「(ASEAN各国の外相から)中国の提案が支持と賛同を得た」と勝ち誇るように強調した。しかし、ASEAN各国の外相たちが、みな中国を支持しているわけではない。中国を名指ししなかったのは、中国寄りのカンボジアが強硬に反対したからだ。
それどころか、6月14日、中国がホストとして雲南省で開催したASEAN諸国との外相会合では、インドネシアとマレーシアの外相が中国側の傲慢な態度に対して、公然と不快感を示したという。
これまでのASEAN各国の中国に対する姿勢からは考えられない事態である。中国との衝突を回避してきたASEANの対中姿勢が変わったのは、南シナ海における中国の強硬な態度に対して、ASEAN側に不満がたまっていたからだ。
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