浜松ホトニクス
世界が頼る“町工場”集団
昨年、ノーベル物理学賞を受賞した梶田隆章さんが研究拠点にしていた岐阜県の観測装置「スーパーカミオカンデ」。宇宙からの素粒子をとらえる“目”である光電子増倍管を製造していたのが静岡県浜松市の浜松ホトニクスだ。ノーベル賞級の研究を支える地方企業は医療やバイオ、油田探査など幅広い分野で世界を相手に堅調な業績を上げている。
2016年9月期は連結売上高1269億円、純利益172億円と3年連続の過去最高業績を予想する。
光電子増倍管を含む電子管事業は1953年の創業直後から経営の柱。カミオカンデ用は直径20インチ(約50cm)の特大サイズだが、通常はその10分の1もない小口径タイプが必要とされる。がん検診や血液分析の医療機器向けに、病院などからのニーズが強い。
製造現場は工場といっても大学の研究室のような雰囲気。白衣を着た従業員が検出器の感度などのデータを慎重に取りながら、一品一品を手作りする。
「研究所にも見えるが、あくまでモノづくりの現場。どんな無理難題も、現場で試行錯誤していると理屈抜きに解決できてしまうことがある。そうした経験を研究開発に直結させるのが、他社と違うわれわれの強み」と電子管事業部の鈴木賢次常務。現場と研究開発の近さが、梶田さんのような科学者から医療関係者までのハイレベルな要求に応え、他の追随を許さない高シェアの理由なのだ。
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