2015年12月に決まった16年度の与党税制改正大綱には、法人税率の引き下げや自動車取得税の見直しとともに、消費税率10%への引き上げ時に軽減税率を導入する方針が盛り込まれた。多くの関係者を巻き込んで行う準備はたいへんな作業だ。これだけやって、増税見送りはさすがにない、と考えるのがオーソドックスな見立てだろう。
しかし、海外の投資家はそうは見ないかもしれない。日本政府には14年に増税延期を決めたという“前科”があるからだ。
大手格付け会社、ムーディーズの日本国債担当アナリスト、クリスチャン・ド・グズマン氏は15年10月の来日時、「軽減税率についての議論が盛んだが、そもそも本当に消費増税をやるのか、ということから目がそらされている。(日本財政の)不確実性はいまだに払拭されていない」と指摘していた。
増税判断のカギを握るのは景気動向だ。14年に延期を決めた際、4~6月、7~9月と2四半期連続で実質GDP(国内総生産)成長率がマイナスになった。そのため、予定どおり15年10月に増税に踏み切ると「個人消費を再び押し下げ、デフレ脱却も危うくなる」(安倍晋三首相)という理由から、17年4月まで先送りを決め、同時に衆議院解散を表明した。
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