
祖父、父の代から「崩壊論」が続く北朝鮮。孫の代になっても体制は安定している(AFP=時事)
北朝鮮を吸収する形で南北統一を果たした2016年の韓国。ソウルには北朝鮮出身者による暴力団が跋扈(ばっこ)し麻薬も流行、街はすさんだ雰囲気に──。韓国の作家・李應準(イウンジュン)のベストセラー小説『国家の私生活』で描かれた朝鮮半島統一後の風景は「最も暗く、最も現実的」として話題になった。
韓国政府の統計によれば、北朝鮮の1人当たり国民所得は韓国の22分の1。現状のまま統一すれば、大きな経済格差を抱えた社会になるのは必至だ。小説の光景が現実のものになる可能性は十分ある。
最近、韓国の国会予算政策処が作成した南北統一のシミュレーションがある。これは、今後の南北交流の度合いに応じて統一費用がどう変わるかを計算し、三つのシナリオを提示している。16年からの10年間を「統一準備期間」と設定。26年を統一元年として、以降、統一が完成する年数と費用を算出したものだ。
まず、南北関係が現状維持というシナリオでは26年から統一まで必要な年数は50年で、費用は4822兆ウォン(約497兆円)。これは15年度の韓国の国家予算約316兆ウォン(約32兆円)の15倍となる数字だ。
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