数千億円規模の巨額海外M&Aが相次ぎ、この秋には11年ぶりの国内大型再編が実現した。少子高齢化で縮む将来の国内市場をにらみ、生保各社がようやく動き始めた。
“巨人”、ついに動く──。
9月11日、実に11年ぶりの国内生命保険会社同士の大型再編が実現した。日本生命保険による三井生命保険の買収だ。買収額は約2800億円。海外を含め、M&A(企業の合併・買収)に最も消極的とみられてきたガリバー・日生が腰を上げたことが衝撃度を倍加させた。
メガバンクや損害保険各社が数度の統合、再編を経てそれぞれ3メガ体制に行き着いたのに対し、国内にはいまだに40社以上の生命保険会社がひしめく。明治生命保険と安田生命保険、大同生命保険と太陽生命保険がそれぞれ合併、統合して明治安田生命保険、T&Dホールディングスを発足させたのは10年以上前の2004年にさかのぼる。足元は生保の破綻が取りざたされる「有事」ではないといえ、ガリバー・日生が動いたことで、にわかに再編機運が高まりつつある。
「国内で圧倒的な基盤を構築する」。三井生命との会見の席上、日生の筒井義信社長が強調したのは国内市場の重要性だった。第一生命保険(米プロテクティブ、買収額5750億円、14年6月)を皮切りに、明治安田(米スタンコープ、同6246億円、15年7月)、住友生命保険(米シメトラ、同4666億円、15年8月)と大手生保が相次いで海外大型M&Aに乗り出す中、ガリバーが最優先したのは、国内での地盤固めだった。
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