非常事態になると「情報は組織ではなく人につく」という。筆者の経験でも、それは真実だ。11月13日のフランスでの同時多発テロ事件発生後も、複数の国の専門家らから連絡が来た。中東某国の友人は「直接会って話したい」と言って、東京まで訪ねてきた。彼の話のうち、ビジネスパーソンの読者に興味深いと思われる部分を紹介する。
友人は「今回の同時多発テロについては、長期的な歴史的視座から考察することが重要だ」と前置きし、こんな話を続けた。
「サイクス・ピコ秘密協定(1916年)によって引かれた国境、すなわち第1次世界大戦でオスマン帝国が敗北したことで引かれた中東の国境線が、最終的に有効性を喪失した。『イスラム国』(IS)をめぐる問題はここから生じている。ISが国際社会の秩序を混乱させている原因という見方は間違っている。ISは原因ではなく、サイクス・ピコ秘密協定に代表される、中東の地政学と合致しない欧米の政策の破綻が生み出した結果なのだ。したがって、中東に新秩序が形成されないかぎり、ISを除去しても別の名称の団体が似たようなテロ活動を起こす」
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録頂くと、週刊東洋経済のバックナンバーやオリジナル記事などが読み放題でご利用頂けます。
- 週刊東洋経済のバックナンバー(PDF版)約1,000冊が読み放題
- 東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
- おすすめ情報をメルマガでお届け
- 限定セミナーにご招待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら