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誤った中期分析を岸田訪ロ外交に見る 職場で実践できる 「中期分析」の方法⑥

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1993年の細川護煕首相とエリツィン大統領との会談で、北方領土問題の解決と平和条約締結とがセットとして合意された

前回の本連載で予測したとおり、岸田文雄外相の訪ロは大失敗だった。

9月21日、モスクワで岸田外相はロシアのラブロフ外相と会談した。〈会談後ラブロフ氏は「北方領土問題については協議しなかった。協議したのは、平和条約締結問題だ」と述べ、日本と北方領土交渉を行うことを拒否する姿勢を鮮明にした。/ラブロフ氏は「ロシア側のアプローチは、日本が第2次大戦後の歴史の現実と国連憲章を受け入れることが問題の前進のために不可欠だということだ」と述べた。第2次大戦の結果、北方四島はロシアのものとなり、敗戦国の日本に異議を唱える資格はない、という強硬な主張だ。「平和条約交渉とは、領土問題をめぐる交渉のことだ」という日本の立場は否定したとみられる。/日本側が年内の実現を目指しているプーチン大統領の訪日日程も決まらなかった。〉(9月22日「朝日新聞デジタル」)

ラブロフ外相は、第2次世界大戦の敗戦国であった日本には、連合国の一員であったソ連が獲得した北方四島についてうんぬんする資格はないという強圧的態度を取っている。根室半島と歯舞群島の間に国境線を画定することで日ロ平和条約を締結するというロシアの交渉スタンスを示したものだ。これは、1970年末から80年代初頭にブレジネフ政権のソ連が取った態度と同じだ。

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