経済活動の停滞が報じられる一方で堅調なデータが発表されるなど、 中国の経済統計の信頼性が疑われている。専門家は何を問題視しているのか。
上海の復旦大学で9月上旬に行われた、中国経済に関する国際会議に参加してきた。参加者との個人的な会話の中では、今年上半期の7.0%という実質GDP(国内総生産)成長率に率直な疑問を投げかける声が多く聞かれた。輸入が上半期で7.4%、8月だけだと14.3%と大きく減少していること、同1~3月期の名目成長率が実質成長率を下回っているにもかかわらず、消費者物価指数は一貫してプラスを記録していることなど、統計指標相互の整合性が取れないからだ。
統計指標の混乱は、政治的な理由で意図的に生じさせられているという見方も根強い。しかし正確な経済指標が得られなければいちばん困るのは中国政府であることを考えると、政治的な理由で統計が大きくねじ曲げられている可能性は高くない。むしろGDP算出におけるさまざまな技術的問題が、ここに来て顕在化していると見るべきであろう。
それを裏付けるように、国家統計局は9月9日、季節変動をより正確に反映するため過去にさかのぼってGDPの計算方法を修正すると発表し、具体的な数値も公表された。ただし、大きな修正が行われたのは四半期ごとのGDPであり、年間のGDPの絶対値や成長率についてはほとんど変化がなかった。たとえば、年間7.4%と公表されていた昨年の実質GDP成長率は、わずか0.1ポイント下方に修正されただけだった。
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