相続税法改正の影響で、相続税の課税対象となる家庭の数が大幅に増え、それに伴って不動産を売買する事例が増える──。法改正前は、不動産業界ではこのような予測があった。ところが法改正後、相続に絡む売買案件が増えている様子はない。どうやら相続した不動産を売ることができずに、頭を抱えている家庭が多いようだ。
「当然、おまえがこの家に住むんだろう?」「え、興味ないよ。長男が住むのが普通でしょう」「いやいや、今はそういう時代じゃないよ」 今年1月の正月休み中に、横浜市港南台にある実家に帰省していた今野祐介さん(50、仮名)は、兄との会話でちょっとした口論になった。父親がすでに90歳を超えていることもあり、実家の相続について意見交換したところ、どちらが引き取るかで押し問答になった。結論はうやむやのまま終わってしまった。
これまで、不動産は価値の高い資産の一つとされてきた。だが、現在は「負の遺産」として遺族の間で“厄介もの”扱いされ、押し付け合いの対象になっている。年間50回ほど相続セミナーで講師を務めるハイアス・アンド・カンパニーの山本嘉人顧問は「不動産を誰が相続するのかでもめている、との相談が最近増えている」と語る。
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