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「土地経済」終焉の兆し 巨大財閥の香港脱出は

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香港経済を代表する李嘉誠氏のグループが本拠地をケイマン諸島に移した。背景にあるのは、権力に近づき土地売買で稼ぐ手法が終わりつつあることだ。

「李嘉誠、中国撤退」の報道は衝撃的だった。写真は1月9日、香港で記者会見する李氏(右)と長男(AP/アフロ)

大富豪として知られる李嘉誠(リカシン)は、香港証券市場の時価総額の3割を系列企業で支配しているといわれる。その李が新年早々、経営する長江実業と和記黄埔(ハチソン・ワンポア)の再編を行ったうえ、登記地を香港からケイマン諸島に移したことが話題になっている。

李は先行して中国大陸に所有する不動産の処分を始めており、「李嘉誠が中国から撤退する」と大陸メディアに書き立てられていた。

昨年8月17日から香港で始まった北京政府への抗議運動は選挙制度に対する不満が引き金だが、背後には貧富の格差、社会の閉塞感など香港が抱える根深い問題があった。

現在の香港の土地制度は、英国植民地時代の遺物である。当時、土地は英国女王の所有とされ、私有が認められるのは使用権のみだった。香港政庁は土地使用の許認可を通じて使用権の価格をコントロールし、安定した収入を得てきた。

この仕組みの下では、土地を握るものが経済を支配できる。土地使用権の競売を勝ち抜くだけの資金力を持った開発業者は、電力などのインフラから金融、流通に至るまでさまざまなビジネスに進出。長らく独占禁止法がなかった香港で、彼らの稼ぎを妨げるものはなかった。

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