小学校「英語嫌い」3割、必修化から3年で直面する課題を解決するコツ 英語教育の第一人者・佐藤久美子氏に聞いた
評価の観点は、「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3つ。「表現がきちんと覚えられている」「単語をきちんと書ける」といった「知識・技能」だけでなく、「間違えてもいいから自分の考えを表現できる」などの思考力や表現力、「ICTを工夫して使いながら学んでいる」などの主体性にも注目して評価を行うことが非常に大切です。
ペーパーテストの結果だけを重んじるのではなく、主体的・対話的で深い学びが実現できているか評価するためには、子どもたちの主体的な言語活動を重視する必要があります。評価観点をいま一度見直したうえでご自身の授業も見直し、授業改善につなげてほしいですね。これが、「指導と評価の一体化」につながります。
――「主体的な言語活動」とは、どのような取り組みを指すのでしょうか。
例えば、haveという動詞を、例文を用いて教科書どおりに教えようとすると、「Do you have a book?」「Yes, I do.」「Do you have a pen?」「No, I don’t.」など、教室にいる子どもたちの目の前にある“筆箱と文房具”の話題だけで完結してしまいがちです。視点をもっと広げ、「お友達のおうちにあるもので、haveを使って英語で聞いてみたいものはある?」と子どもたちに聞くと、子どもたちは、「お友達の家には何があるかな」「自分の家にあるもので、英語で言えるものはあるかな」など、興味がぐっと湧いてくるものです。
そこで、「Do you have a garden?」など、まだ学校で習っていない単語を用いる子が出てきたら、みんなで「garden」を辞書で引いてみたり、その問いに対して「Yes, I do.」と答えた子がいたら、「その子に対してもう1つ、英語で質問してみることはできる?」と促し、「Is it small or big?」とさらに会話を深めることにより、コミュニケーションの幅が広がりますよね。このように、自分の考えや思いを伝える言語活動に重きを置くことで、子どもたちの主体性も育っていきます。
よい意味での「遊び心」を授業に取り入れる
――小中一貫で英語教育を推進するうえで大切なことは何でしょうか。

(写真:佐藤氏提供)
英語教育で大切なことは、小学校も中学校も変わりません。英語の授業では、1. 必然性のある言語活動を重視し、2. 口頭で何度も反復する時間を意識的に設けること、3. 例えば英語を使ったゲームや練習を行う場合は日本語で長いルール説明をするのではなく、なるべくシンプルに英語でモデルをやって見せて活動に入ること、4. 暗記だけではなく、子どもたちが自分で考えたりICTなどを使って自分で調べたりしたことを発表できる機会を設けること、5. 例えば食べ物の単語や表現を習ったら、その週は日直さんが「I like steak.」など朝のあいさつに取り入れたり、給食の時間に給食当番さんが「Today's menu is fried rice and milk.」と発表する機会をつくるなど、授業以外の時間に英語を取り入れること。この5つを意識していただくだけでも、授業は変わっていくと思います。
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