ダイハツ、円安が追い風ではない苦しい事情 中間期の営業利益は前期からほぼ半減

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決算会見で示された今後の方向性

ダイハツの海外販売はインドネシアとマレーシアが大半で、円安(対ドル)による利益押し上げは限定的だ。多くの自動車メーカーが円安効果を満喫している中、ダイハツは中間期に為替変動で83億円利益を減らした。

下方修正後の通期予想はなお楽観できない。前提となる国内での軽自動車販売計画を66万台(前期比6%減)で、これは期初計画から変更していない。「9月に発売した新型ハイゼットトラック、11月上旬と年内に予定する2車種とも量販が見込める」と三井正則社長は自信を示す。

カギを握る下期の国内販売

ダイハツの三井正則社長。抜本的な改革をどこまで進められるか(撮影:今井康一)

しかし、この達成には下期に35.4万台販売する必要がある。消費増税前の駆け込み需要で過去最高だった前下期の37.8万台には及ばないものの、下期では過去2番目に近い高い水準だ。また、インドネシア、マレーシアとも販売競争は激化している上、通年でもルピア安が痛手となる。

一方でプラス材料もある。15年4月には軽自動車税増税で駆け込み需要が期待できる。10月の消費税10%への引き上げが決まれば、早めの特需が発生する可能性もある。もっとも、増税前の駆け込み頼みでは、需要の先食いでしかない。

三井社長は30日の決算会見で「国内営業の改革、国内外のバリューチェーンの再構築など抜本改革を進める」と力を込めた。利益水準自体はまだ高いとはいえ、改革に向けて早急に手を打つ必要がありそうだ。

山田 雄大 東洋経済 コラムニスト

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やまだ たけひろ / Takehiro Yamada

1971年生まれ。1994年、上智大学経済学部卒、東洋経済新報社入社。『週刊東洋経済』編集部に在籍したこともあるが、記者生活の大半は業界担当の現場記者。情報通信やインターネット、電機、自動車、鉄鋼業界などを担当。日本証券アナリスト協会検定会員。2006年には同期の山田雄一郎記者との共著『トリックスター 「村上ファンド」4444億円の闇』(東洋経済新報社)を著す。社内に山田姓が多いため「たけひろ」ではなく「ゆうだい」と呼ばれる。

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