授業が簡単すぎる「吹きこぼれ」を伸ばす本場米国の教育が日本へ ギフテッド教育、米・CTY学習プログラムの中身
CTYの特徴は、サマープログラムや通年のオンラインプログラムを通して、就学年齢に関係なく、子どもの興味や能力に合わせて深い学習を進めるところにある。その内容は、受験勉強や学習の先取りとはまったく異なるものだという。参加者は、SCATと呼ばれる独自試験によって選抜され、3週間にわたってサマープログラムが行われる。

サマープログラムは、大学教授や大学院生などの指導の下、自然科学や人文科学などの知見を基に推理的、論理的思考を駆使しながら、知る楽しさ、学ぶ楽しさを体験する内容になっている。このサマープログラムには9500人が参加し、通年のオンラインプログラムは毎年2万6700人の子どもたちが受講している。
CTYの修了生にはグーグル共同創業者のセルゲイ・ブリン、メタ(旧・フェイスブック)創業者のマーク・ザッカーバーグ、アーティストのレディー・ガガなど著名人の名も並ぶ、米国では定評あるプログラムだ。

ISAKの小林りん氏らEducation Beyond設立でCTYを日本へ
今、このCTYを日本に導入し、多様化する教育ニーズに応えようとする団体がある。2022年から活動を本格的に開始した一般社団法人Education Beyondだ。Education Beyondでは、子どもたちが自分たちの可能性を最大化し、あらゆる枠組みを超えて自分らしく生きる力を育むこと、そして子どもたちを取り巻く保護者、先生らの支援を通し、コミュニティーと一体となって社会的インパクトを及ぼすことをミッションとしている。
Education Beyond理事の1人である学校法人ユナイテッド・ワールド・カレッジISAKジャパン代表理事の小林りん氏が語る。

学校法人ユナイテッド・ワールド・カレッジISAKジャパン 代表理事
経団連から全額奨学金を受けて、カナダの全寮制高校(Pearson College UWC)に留学中、メキシコで圧倒的な貧困を目の当たりにする。その原体験から、大学では開発経済を学び、UNICEFのプログラムオフィサーとしてフィリピンに駐在。ストリートチルドレンの非公式教育に携わるうち、リーダーシップ教育の必要性を痛感する。帰国後、6年の準備期間を経て、2014年に軽井沢で全寮制国際高校を開校。17年には世界で17校目となるユナイテッド・ワールド・カレッジ(UWC) へ加盟し、ユナイテッド・ワールド・カレッジISAKジャパンへ改名。同校は80カ国以上から集まる生徒の7割に奨学金を給付している
(写真:本人提供)
「子どもを持つ親として、受験勉強でも先取り学習でもなく、学校でもっと知的でチャレンジングに学べる環境があればいいと思っていたところ、米国にCTYという学習プログラムがあることを紹介してくれたのが、代表理事のポール・リーさんでした。ただ、日本から米国CTYに参加しようとすると、かなりハードルが高い。そこで、日本の子どもたちにも手が届く形で学べる機会をつくろうとみんなで話し合ったのがEducation Beyondを設立したきっかけです」