学校配布のGIGA端末、トラブルは「すべて学校の責任」解決のカギ くまゆうこ「ネットとリアル」いじめは地続き

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ネット上でのいじめは、例えば、チャットのやり取りで「バカ」と冗談半分で言ったり、ふざけて友達の写真をアップしたりと、実は最初のきっかけは「されたほうもいじめとは思っていない」ことも多くあります。ところがチャットや掲示板で、それを見た別の誰かが乗っかってきて一気にエスカレートし、いつの間にか「誰かを誹謗中傷する」ケースというのもありがちです。

私は、「すべてのツールを禁止するよりも、まずは使ってみること。使って失敗を学ぶこと」が大事だと思っています。SNSにせよチャットにせよ、コミュニケーションツールの1つです。道具である以上は、「ケガをしたら大変だから使わせない」ではなく、使いながら危険があることを知り、経験し、体感することが大事です。その点は、保護者の方にも理解していただきたいです。

大事なのは、根深く執拗で悪質・陰湿なネットいじめをさせないことです。

自由に使うことを一度許可したなら、もし誹謗中傷や周囲が驚くようなことを書き込む子どもがいたら、きちんと注意をする。エスカレートしそうになったら、どこかで踏みとどまれるようなルール・運用にする。意外にも、子ども同士でネット上の書き込みを見て「それは書かないほうがいいよ」とか「これは言いすぎたかな」と、子どもたちで解決をしようという動きも見受けられます。

いじめの対処については、担任の先生以外にも、学校カウンセラーや養護の先生、学校長をはじめとした管理職を含めた、現場が一体となって対応することが今すぐできる方法の1つです。

「それが難しいのです」という先生方の声が聞こえてきそうですが、できている学校も実際にあります。管理職の力も大きいということは、声を大にして言いたいところです。

「学校端末を使ったネットいじめをどうすれば防げるか」という表現に私は違和感を覚えます。ネットのいじめは小中高ではほとんどが同級生、あるいは部活などで、リアルな結び付きのある相手に対して行われています。「ネットいじめをどうにかしなくては」ではなく、「いじめ」そのものに向き合っていくべきです。いくら学校端末での利用を制限しても、いじめそのものが解決していなければ、学校端末以外(プライベートのLINEなど)でもいじめは行われまったく意味を成しません。

GIGAスクール構想の「現場の課題」を1つずつ解消

ネットがまだない時代、仲のいい友達とノートを交換してお互いが日記を書く交換日記というものがありました。仲間に入れてもらえないとか悪口を書かれたとか、当時はよく問題になり、「交換日記は禁止」ということもありました。

いつの時代でも、子どもは新しいコミュニケーションが好きです。大人に隠れて行うことも好きです。禁止されても見つからないような方法を考えます。ましてや今は、ネット上にさまざまな情報があり、「学校端末」で検索すると、「どうすれば配布された端末からYouTubeを見られるのか」「ゲームができるのか」、フィルターがかかっていれば外し方まで、丁寧に動画で解説している状態です。

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