鴻巣市の教員が「働きやすくなった」と喜ぶフルクラウド化の恩恵 いつでもどこでも学び働ける教育ICT環境を整備

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清水 励(しみず・はげみ)
鴻巣市立鴻巣中央小学校 校長
高等学校教員(保健体育)や民間企業を経験後に、小学校教員となる。上尾市、鴻巣市(旧吹上町含む)の小学校、県立総合教育センター(情報教育推進担当・企画調整担当)勤務を経て、2018年4月より現職

同市では、持ち帰りの仕事については厳密な時間管理をしていないが、管理職が作業内容を把握・管理しているという。清水氏はフルクラウド化後もこの運用で現状、「負担が増えたとは感じていない」と言う。

「むしろ、各自のパソコンで好きな時に学校内と同じ環境で作業でき、とても楽になりました。これまで自宅で作業するときは、暗号化したUSBメモリーを持ち出していたためできることが限られていましたが、今は自分のパソコンごと持ち出せるようになりましたから。教員は家でちょっと資料を見ておくことで翌日の仕事がスムーズになることも多いので、助かっているようです」

テレワーク環境を整えた意図について、新井氏は次のように語る。

「抜本的に働き方改革をしなければいけないという大前提はありますが、本市だけでも今すぐにできることとして、先生方のワーク・ライフ・バランスの向上を目指し、この環境を整えました。実際、働きやすい環境になって助かっているという声は、多くの教職員からも届いています」

例えば、育児や介護など家庭の事情で定時に帰らなければいけない、小1時間で終わる仕事のために休日に往復2時間かけて学校に行かなければならないといったときに、自宅からクラウド環境にアクセスして仕事ができるのは便利だと好評のようだ。

また、校務支援システム刷新による勤務整理簿・勤怠管理・学校日誌・文書決済などの電子化やデータ連携機能の追加、中学校での採点支援システムの導入などにより、劇的に負担が減ったという声もあるという。

「市全体としては業務時間の削減効果が出始めてきた状況ですが、今回整備した環境を使いこなすことでさらなる効果が出てくると思っています」と、新井氏は話す。

フルクラウド環境を生かして教育データの活用も

今回の教育ICT基盤の刷新は、とくに技術面で前例のない取り組みだった。「ベンダーに情報提供依頼書を提出していただいたり、自分たちで技術的なことを学び仕様書を書いたり、かなりいろいろなことを調べて進めましたね」と新井氏は苦労した点を語る。齊藤氏は、計画を実現できた要因について次のように話す。

「原口和久市長の強い思いと、連携ですね。教育部の教育総務課、学務課、学校支援課が密に連携し、タイトなスケジュールの中でベンダーや学校の先生方と議論を重ねました。本市の財政部門や企画部門に支援してもらえたことも大きいです」

清水氏は、「今の時代は、すべての学校が新しいことに挑戦していく必要があると思います。また、今回は新井さんが単に技術のことだけではなく、子どもたちにどういう力をつけさせてあげたいかというロマンや目的も語れる人だったからこそ私たちもより前向きになれたところがあります」と、学校のあり方やキーパーソンの重要性を指摘する。

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