我が道を行くマツダ、新型「デミオ」の賭け 通常のコンパクトカーとは一線画す装い

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

こうした手法はBMWなどのプレミアムブランドが用いるが、幅広いユーザーへの訴求を狙う日系メーカーでは珍しい。内装も上級車と共通の質感にこだわっており、日系のコンパクトカーとしては別格の仕上がりとなっている。柳澤亮・チーフデザイナーは「世界のコンパクトカーのベンチマークになるという高い目標をもって設計した」と語る。

エンジンでも、ライバルの低燃費路線とは距離を置く。コンパクトカーは各社が新型車で燃費ナンバーワンを競い合うカテゴリーだが、新型デミオはトップではない。カタログ燃費をみると、ガソリンエンジン車は現行車よりも悪く、価格帯で他社のハイブリッド車(HV)と競合するディーゼルエンジン車も、燃費ではHVに及ばない。燃費のために走りの楽しさを犠牲にしない、というのがその理由だ。中でも排気量1.5リッターのディーゼル車は、ガソリン車とはまったく異なる力強い走りを見せ、新型デミオの大きな特徴になっている。

 プレミアムブランドの足がかり

燃費や広さ、さらにはHVの持つ環境イメージを求めるようなコンパクトカーユーザーの“多数派”には、新型デミオは向いていない。だが、コンパクトカーでも質感や走りの楽しさを求めるユーザーにはぴったりだ。従来、このマーケットは欧州車、とりわけドイツ車の独壇場だった。ただ、外国車が抱える割高感やサービスの悪さに不満を持つユーザーも少なくないだろう。欧州ブランドにも引けを取らないクルマが、日系の価格と品質で手に入るとあらば、一定の人気を博しそうだ。

 モータージャーナリストからの前評判は、ひいき目を割り引いてみても上々と言っていい。事前受注も好調で、特に目玉のディーゼルエンジン車は、10月23日発売ながら、すでに納車は11月以降になっている。もともと技術志向が強いマツダにとって、BMWのようなプレミアムブランドになることが悲願。安売りイメージを払拭しプレミアムブランドへの足がかりを築けるかは、新型デミオの成功にかかっている。

丸山 尚文 東洋経済 記者

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

まるやま たかふみ / Takafumi Maruyama

個人向け株式投資雑誌『会社四季報プロ500』編集長。『週刊東洋経済』編集部、「東洋経済オンライン」編集長、通信、自動車業界担当などを経て現職

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事