カリモク「猫ファースト」の木製家具ブランド スタイリッシュな「4万円のキャットツリー」

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では、猫の飼育頭数拡大を見込んで、まず猫に着目したのだろうか。伊串氏によると、偶然の要素が大きかったよう。外部ディレクターとして知り合いから紹介された、株式会社RINN代表取締役CEOの梁原正寛氏が「猫のことなら何でも知っている」人物だったのだそうだ。

カリモク皆栄、事業開発部部長の伊串直恭氏。カリモクキャットの立ち上げから関わってきた(筆者撮影)

RINNは猫用プロダクトの企画販売やインテリア、プロダクト、グラフィックなどの企画・デザインを事業とする会社だ。同社のECサイトを見ると、販売価格100万円と驚くような商品も販売されている。

確かに、世の中に出回っている猫用品は実用本位のものも多い。100万円は行きすぎとしても、インテリアにこだわりのある人なら、部屋に置く猫用品は多少高くても美しいものにしたいと考えるだろう。

梁原氏は猫の専門家としても有名な人物らしく、検索すると猫について語っている記事がたくさんヒットする。

「猫の気持ちを考えながら、専門家としてエビデンスに基づいたアドバイスをしてくれます。いい出会いを得られたと今でも思っていますし、梁原さんとの出会いがなければ、違う展開になっていたかもしれない」と伊串氏は語る。

キャットツリーは低めに設定

新ブランド、カリモクキャットの商品第1弾としてラインナップしたのは、キャットツリー、キャットベッド、キャットレストルームの3アイテム。

木製のステップの表面は木目を活かし凹凸をつくった「浮造り」という方法で仕上げられている(筆者撮影)

猫用品の製作は初めてではあったものの、長年、家具づくりの実績を積み重ねてきた同社においては、さほどの困難はなかった。ただし、猫の特性に合った家具とするうえで、梁原氏のアドバイスを受けながら試行錯誤を重ねたという。

例えば、キャットツリーは長く使えるよう配慮し、高さ124cmと低めに設定した。猫も年齢によって身体機能が衰え、高いところには上らなくなることが多いそうだ。

また足場は猫が足を滑らせにくいよう、凹凸のある表面仕上げを施した。

「浮造り(うづくり)という和家具に使われる手法で、木目を浮き立たせて凹凸を出しています」とのこと。猫の安全を守る仕様に、家具の伝統技術が生きた例だ。

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