金沢学院大附属中が塾と強力タッグを組んだ理由 公立校優位のエリアにつくる「新たな選択肢」
 
こうした学校・塾の一体型システムにより、「特進コース」では難関大進学を目指す。一方、「総合コース」では全員が部活動に入ることを想定。中高大と10年間の一貫教育で受験に左右されることなく、専門家の下でスポーツや音楽、美術などの得意分野に注力していく。いずれのコースも徹底した個別指導にこだわるため、定員は各コース35名だが、それを超える場合も1クラスの定員は変えず、2クラス体制にする考えだ。
ICTを活用した支援にも力を入れる。Chromebookを1人につき1台貸与してすべての授業で活用するのはもちろん、朝の健康確認や授業の課題配信なども行う。また、終礼時にはチャット機能を使って帰宅後にやることを宣言してもらい、その内容に対して担任が一人ひとりにコメントをフィードバックして支援。また、その宣言は保護者にも共有する。
学校設定科目として週1時間の「プログラミング」授業も実施する。中学校の担当教員と大学の教員が協力してカリキュラムを作成し、授業も一緒に行っていく。ジュニア・プログラミング検定も定期的に受験し、中学校3年次には「Python」を活用できるようにする。
寮を完備し、県外からの入学者も受け入れる
県外からの入学者も受け入れる方針で、2022年1月7日に行われる入試Ⅱは東京、愛知、大阪で開催する予定だ。そのため、寮も完備した。ここでの対応も手厚い。生活の場だけでなく、仲間との共同生活の中で人間性を育んでいく教育の場と位置づけており、寮生が自ら企画運営する寮祭や地域交流イベントなど、寮ならではの活動も大切にしていく。
 
また、毎日帰寮後に1時間半~2時間の寮内学習の時間を設ける。教員全員が当番制で対応するほか、金沢学院大学の学生にもチューターとして協力してもらい、寮内でも個別対応ができる体制を整える。さらに、定期的に対面あるいはオンラインによる特別講座も実施するという。
「中高6年の一貫校教育なので、私たちの新たな取り組みの結果が出るのは、だいぶ先の話になります。しかし、1年ごとに生徒たちがどのように成長していってほしいのか、私たちは明確な基準を持っており、そこに向けてまずは努力していきます」(西念氏)
清水氏は塾を立ち上げた頃から、学校をつくることが1つの夢だったという。その意味でも日本中が注目するような学校にしていきたいという。
「金沢でこうした取り組みができることに大きな意義を感じています。まずは公立優位といわれる金沢の状況を変えていきたい。東京などの大都市と比べると、今の状況は子どもたちにとって選択肢を狭めてしまうことになる。多様性の時代の中、ここに1つの新たな教育モデルを確立していくことで、日本の地方の教育に一石を投じたいと思っています」
(文:國貞文隆、注記のない写真は金沢学院大学附属中学校設置準備室提供)
制作:東洋経済education × ICT編集チーム
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