金沢学院大附属中が塾と強力タッグを組んだ理由 公立校優位のエリアにつくる「新たな選択肢」
清水氏は、東京大学在学中の20歳の時に同塾を立ち上げた。現在、東京、京都、大阪で教室を展開しながら、学校・教育委員会や塾・予備校など教育機関向けのコンサルティングも行う。実績豊富な清水氏だが、こう明かす。
 
プラスティー教育研究所代表取締役
私立海城中学高等学校、東京大学教育学部を経て、同大学院教育学研究科修士課程修了。同社の創業以来、公教育支援を続けており、青森県三戸町教育委員会の学習アドバイザーや、京都府長岡京市立長岡中学校(文部科学省の研究指定校)の研究アドバイザーを務めてきた。12冊の著書は、累計40万部を突破
(写真:プラスティー教育研究所提供)
「難関大受験を目指すとなると、ライバルとなりうるのは首都圏の子どもたち。彼らは小学校高学年から基礎学力を定着させ、中学校入学段階でかなりの差をつけています。その中で金沢の子どもたちを難関大学に合格させる、しかも北陸を代表する誇りある進学校をつくりたいというお話でしたので、当初は正直難しいなと感じました」
しかし、教育アドバイザーの経験をフルに生かし、本格的な「学校・塾の一体型教育」を展開することを決意。現在、清水氏の学校への関与は、教科書選びから宿題の出し方、カリキュラム、授業のコンセプトづくり、入学説明会の広報活動など多岐にわたり、あらゆる施策について相談しながら決めている。
「これまでも塾が学校をつくるケースや、放課後に予備校の先生が来て授業をする学校内予備校という連携はありましたが、ここまで塾が学校に深く入り込んで強力なタッグを組むのは珍しいと思います。学校と塾が組んでも、文化が違うので対立することが多々あるのですが、学校や教育委員会のアドバイザー経験から対話が最も重要であることを学んできましたので、現場の先生たちとひざを突き合わせて対話を重ねることを心がけて進めていきました」(清水氏)
そのうえで、まずは学校と塾でカリキュラムを一本化した。例えば数学と英語はそれぞれ週5時間確保。そのうち各1時間を使って同塾の講師が先取りの予習授業をし、残りの4時間で学校の教員が学習の定着を図る体制にした。さらに外部の模擬テストにも対応できるよう、月2回は土曜日に校内で同塾の講師が応用・発展問題の演習を実施する。
「塾経営の経験から、1~2カ月くらい先の予習を塾で行い、少しだけ時間を空けて学校で復習する形が多くの子どもたちにとって学習効果が高いと感じています。今回はその形を学校内で完結できるようにしたい。だから、定期テストも共同開催。学校が8割を作問し、残り2割の作問と全体の監修を私たちが担います。これも日本初の取り組みかと思います」(清水氏)
 
探究型授業やICT活用など新たな教育も強化
新たな取り組みとしては、「探究型授業」も準備している。金沢学院大学の教授陣と連携した「KGゼミ」では、身近な地域課題に地元企業と組んで挑むなど、問題解決型学習(Project Based Learning:以下、PBL)を想定。また、全クラスに対して月1回、清水氏が教壇に立ち、PBLを始めるための“頭づくり”も行う。「直近のニュースについて調べたり文章でまとめたりする中で、考える楽しさを知る時間にしたい。私もとても楽しみにしています」と清水氏は語る。





 
         
         
        
       
        
       
           
           
           
          
         
         
         
         
        











