ポルシェ911「3235万円最上級車」の凄まじい実力 ターボSカブリオレに見たスポーツカーの最高峰

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4WDでなければこのハイパワーは受け止められない(写真:ポルシェ)

サスペンションの第一義は、この強烈なエンジンパワーを収めることだ。ドライバーの意図どおりの操縦性を実現するために、高性能タイヤと、固められたスプリング、寸分の路面状況の変化も見逃さない電子制御4WDシステムが組み合わせられている。試乗車にはオプションの電子制御ダンパーPASMも搭載されていた。

そもそも重量感があって、地面に張り付くようだし、ハイスピードでも空力性能が高く路面をつかんで離さない。昔の911カブリオレは、ボディー剛性が鉄の屋根を持つクーペに比べて緩いことを時折意識させられたものだが、最新モデルはそうしたデメリットがほとんど感じられない。ドラフトストップを展開すれば、高速道路でオープンにしても髪の毛が乱されないほど、室内は平穏に保たれる。

「値段が高いから快適性も最上級」ではない

ただし、PASMによる減衰力最適化とPCCBによるバネ下重量低減による路面追従性アップをもってしても、突出したハイパワーを手なずけるために固められた足まわりが示す乗り心地は、快適性を追求した高級セダンには及ばないことも断っておきたい。時には高速道路の路面の継ぎ目などで強いショックにおどろかされることもある。もしも大切な人をデートに誘うのだとすれば、値段が高いから快適性も最上級というわけにはいかないことを、あらかじめ説明しておいたほうがいい。

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途方もないパワーを発生させる技術と、それを制御不能にしないための技術、さらにオープンエアまで楽しみたいという欲求まで満たすために、ポルシェが持てるノウハウをすべて注ぎ込んだのが911 ターボ S カブリオレである。結果として、その価格は素の911カレラ(1429万円)の2台分を軽く超える。

トップで上がる、つまり自分の要求を満たすために、役満が必要なのか、満貫でも構わないのか。ポルシェの購入においても、そこをよく見極めて、自らの要望に合うモデルを賢く選ぶことをおすすめする。

田中 誠司 PRストラテジスト、ポーリクロム代表取締役、PARCFERME編集長

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たなか せいじ / Seiji Tanaka

自動車雑誌『カーグラフィック』編集長、BMW Japan広報部長、UNIQLOグローバルPRマネジャー等を歴任。1975年生まれ。筑波大学基礎工学類卒業。近著に「奥山清行 デザイン全史」(新潮社)。モノ文化を伝えるマルチメディア「PARCFERME」編集長を務める。

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