安倍長期政権へ「重厚」布陣で足固め 「早期解散は後退した」の声

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
9月3日、第2次安倍改造内閣と党役員人事の布陣は、派閥領袖などベテランを要のポストに置く、重厚で実務型の陣容となった(2014年 ロイター/Yuya Shino)

[東京 3日 ロイター] - 第2次安倍改造内閣と党役員人事の布陣は、派閥領袖などベテランを要のポストに置く、重厚で実務型の陣容となった。リベラルな考え方で知られる谷垣禎一氏を幹事長に起用することで、党内融和・挙党態勢を再構築する狙いがあるとみられる。

斬新さに欠けるが、連立を組む公明党との関係強化も意識し、政権基盤の強化を図ったかたちだ。永田町では、早期の衆院解散・総選挙の可能性は後退したとの見方が支配的となっている。

挙党態勢の構築が狙い

人事刷新から浮き彫りになった安倍晋三首相の狙いのひとつは、集団的自衛権の行使容認をめぐって対立した公明党との関係強化だ。保守派とのバランスをとり、来年の通常国会に提出される関連法案の審議を円滑に進める狙いがあるとみられる。

谷垣新幹事長は安全保障政策でハト派のイメージが強く、公明党の山口那津男代表とは司法修習生同期。山口氏を「なっちゃん」と呼ぶ良好な関係にある。加えて総務会長に就任した二階俊博氏も公明党と太いパイプを持っていることで知られている。

また、懸案の対中関係改善に対する首相の意欲の表れとの声も聞かれる。幹事長、総務会長ともに中国との関係は良好で、政治アナリストの伊藤惇夫氏は「三役のうち2人が親中派ということは、中国との関係改善に意欲を示した強いメッセージだ」と評価した。

経済運営上は、消費税率10%への引き上げという懸案での「重し役」の狙いもあるとみられる。

首相は年末までに、消費税率を10%に引き上げるかどうかの最終判断を下す。谷垣氏幹事長は、野党時代に自民党総裁として社会保障・税一体改革を主導し、民主・公明両党とともに消費増税に関する3党合意をまとめた。

党内には再増税への慎重論もくすぶっており、財政タカ派の谷垣氏を幹事長に据えることで「党内の引き上げ反対派を抑え込み、党と内閣の意志を統一させて踏み切る可能性が高い」(伊藤氏)との声も聞かれる。

安倍首相と考え方で距離のある谷垣氏を、あえて党運営の要の幹事長に据えることで、挙党態勢を作り上げる狙いもあるもようだ。萩生田光一総裁特別補佐は2日のBS番組で「安倍首相とは思想や政策の違いはあるが、党の幅の広さを維持しながら自民党が前に進んでいくには良い人事だ」と評価した。

政治評論家の有馬晴海氏は、集団的自衛権行使容認に対する不満を収め、法案を通そうとすると「党運営に経験が必要と判断したのだろう。斬新さより経験をとった」とみている。

午後に正式発表される第2次安倍改造内閣では、麻生太郎副総理兼財務・金融担当相、菅義偉官房長官、甘利明経済再生担当相、岸田文雄外相など内政・外交の主要閣僚は留任し、政策の継続が重視された。

次ページ支持率上昇も
関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事