子どもの「キラリと光る」魅力見つける意外なコツ HIKAKIN、渡辺直美…次世代の偉人から学ぶ
大人だって、完璧じゃないと子どもに伝えたい
そんな小川さんが自著として初めて出版したのが『キラリモンスター ちょっと変わった偉人伝』だ。著書にはどんな思いが込められているのだろうか。
「イジメから子どもを守りたいと思って『こども六法』をプロデュースしたのですが、今度はそもそもなぜイジメは起こるのか。イジメが起こってしまう原因について切り込めないかと考えたのです。例えば、イジメは異質なものを排除する目的で行われることもあります。ただ法律でイジメから自分の身を守るだけではなく、もっと子どもたちがイジメに向かってしまう意識そのものを変えたい、そう思ったのです。そのとき、ふと思い出したのが教育実習での経験でした。子どもたちは、大人がどのように大人になったのかに興味を持ちます。しかし、大人の話を聞く機会は学校ではあまりありません。学校では1つの価値基準でくくられ、子どもたちの欠点は是正される対象ですが、実は世の中の大人たちだって完璧ではない。むしろ欠点を生かしながら、自分なりの方法で大人になっていく。それが現実なのです。大人が大人になる、その多様さ、そして、欠点こそが生き抜く力になることを子どもたちに知ってほしいと思ったのです」
小川さんは子どもたちのお手本になるように、できる限り具体的なロールモデルを取り上げようと考えた。そこで、デジタル時代だからこその勝ち方、つまり、これまでとは異なる現代風の勝ち方で名を成してきた人物を中心に人選を行った。その結果、本ではどのような人物が偉人として登場しているのだろうか。ここですべて挙げてみよう。

人気ユーチューバーのHIKAKINさん、『かいけつゾロリ』作者の原ゆたかさん、ファッションモデルの冨永愛さん、ダンボール・アーティストのいわいともひささん、サンリオの『シナモロール』『ルロロマニック』のキャラクターをデザインする奥村心雪さん、起業家の家入一真さん、知育菓子開発者の渋井弘美さん、タレントの渡辺直美さん、カリスマ教師の井本陽久さん、バーチャル・ユーチューバーの動く城のフィオさん、映画監督の河瀨直美さん、ブロガーのARuFaさん、コピーライターの澤田智洋さん、NPO法人代表の本木恵介さん、ロボットコミュニケーターの吉藤オリィさん。
皆さんはこの中で、どれくらいの人を知っているだろうか。いずれもこれまでの価値観から飛び出し、それぞれの方法で名を成した人たちだ。では、そんな彼ら“偉人たち”から、今後、子どもたちが社会を生き抜いていくうえで、どんなヒントが得られるのか。いくつかの偉人を取り上げながら、小川さんに紹介してもらおう。
「まずHIKAKINさんからは、自分が極めたいと思ったことを自分1人でもやり続ける力、ということを学べるのではないでしょうか。HIKAKINさんは高校時代にボイスパーカッションに興味を持ったといいますが、そのハマり方が尋常ではない。学校では空き教室で休み時間ごとに1日中練習し、休日には近所の公園の土管の中で練習するという入れ込みよう。自分が高まっていくことだけを面白く感じる。その才能はすごいと感じました。今でこそ、人気ユーチューバーですが、当初は孤独な闘いで、1人で問題点を見つけ、改善する繰り返し。人から注目されなくても、孤独にコツコツとやり遂げる。そんな力を学ぶべきでしょう。ただ、HIKAKINさんの場合、自分のやりたいことを好きにやればいいという考えではなく、むしろ『1番になることを目指せ』と言います。そこが意外で面白いと思いましたね」