結局、世界的な株高がまだ続くこれだけの理由 日本固有の株価押し上げ要因も顕在化しそうだ

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またドットチャート上で利上げを支持したタカ派の中には、どんな状況でも利上げを主張する極端な参加者が含まれていることを加味する必要がある。そしてジェローム・パウエル議長(来年2月の任期満了後、再任を前提)がハト派寄りの見解を有していること、2022年中の利上げを主張していたエリック・ローゼングレン・ボストン連銀総裁(2022年投票権あり)とロバート・カプラン・ダラス連銀総裁(2022年投票権なし)が退任済みであることも踏まえる必要もある。

2点目として「逆フィリップスカーブ」の視点を踏まえる必要があるだろう。一般的に失業率低下は賃金上昇圧力を通じて物価上昇につながる。この関係をグラフにしたものはフィリップスカーブと呼ばれるが、今回の局面においてはその形状が逆となる可能性がある。というのも、最近の高インフレの背景にあるサプライチェーン問題は、一部が労働者不足に起因しているからだ。今後失業率の低下に伴ってサプライチェーンが回復することでインフレ圧力は落ち着くと考えられる。

供給側要因のインフレに利上げで対応できるのか

また人員が充足される下、賃上げ競争の鎮静化により、労働コストの増加ペースが鈍化すれば、賃金と物価の相互刺激的な上昇も収まると予想される。現在、復職を躊躇(ためら)っている人が2022年に復職を果たすことで労働需給が緩和すれば、インフレ圧力の低減につながる。

3点目は、そもそも資源価格高騰、サプライチェーン問題といった供給側要因に起因するインフレを金融政策で対処するのか、という視点だ。参考事例としてECB(欧州中央銀行)が2011年に実施した利上げがある。当時ユーロ圏の消費者物価は、食料・エネルギーを除いたコアが1%台前半で安定していたものの、ヘッドラインインフレはエネルギー価格主導で3%近傍へと上昇していた。景気が低迷するなか、金融緩和の必要性を主張する声もあったが、ECBはインフレ退治を優先して利上げを断行した。

その後の景気後退と欧州債務問題の深刻化を招いた経緯がある。以上を踏まえると2022年中に2回の利上げを織り込むのは行き過ぎだろう。今後、早期利上げ観測が後退する下で、長期金利は低位安定を維持し、株価(特にグロース)をサポートしよう。

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