洗足学園小、中学受験強い私立小が人気の事情 進学実績には「筑駒、開成、桜蔭…」最難関校
「大事なのは心の成長であり、これは学力と両輪を成す欠かせないものです。知識や教養は受験のための詰め込みではなく、社会のリーダーに必要な資質の1つなのです」
育てたいのは「人のため、社会のためになることをしたいと考える子ども」だ。
「政治家や大企業の社長のような、華々しい地位の人だけが社会のリーダーではありません。本校では努力を続ける根気強さ、正しい使命感、共感や思いやりなど、社会の真のリーダーに必要な力を伸ばしたいと考えています」

そうした「心を成長させる」ための取り組みが、洗足学園小にはいくつもある。異なる学年の子どもたちと班をつくって交流する「たてわり活動」もその1つだ。
「たてわり活動では、6年生はいやが応でもリーダーを務めることになります。また、下級生も年齢の違う子どもと接する中で学ぶことも多いでしょう。同学年の友達といるときとは異なる面を見せる子どももいるなど、それぞれにとっていい経験になっています」
子どもたちの身近にあるテーマを題材に考える独自の道徳の授業や、レベルの高いオーケストラ活動なども、心を育てる重要な機会だ。
「いろいろなことに興味を持つ子どもは勉強を楽しむことができ、入学後もしっかり伸びます。好奇心は入試ではなかなか測りきれませんが、さまざまな事柄に関心があるかどうかなど、面接でも尋ねるようにしています」
とくに合格のみを「目的」と捉えると、「中学受験をよしとしない風潮」は強くなるだろう。目的は達成されるに越したことはないが、洗足学園小の子どもたちが目指すのは、全国トップクラスの難関校ばかりだ。結果として、第1志望に不合格になってしまう子ども一定数出てくる。
そこで道徳の授業では「友達と同じ学校を目指していて、もし自分だけが落ちてしまったらどう思う?」あるいは「友達が落ちてしまったら何と声をかける?」など、実際に起こりうる事態について考えさせるという。残酷なようだが、洗足学園小の受験、努力を経験し、その道のりを評価して、人間性を育む「手段」であるともいえるだろう。その過程で高い学力がつくのだ。吉田氏は語る。
「本校について、『お勉強の学校ですよね』とか『子ども同士で足を引っ張り合っているのでは?』などと言われることもあります。ですが実際は『友達も頑張っているから自分も頑張る』という連帯感が生まれています。共に苦難を乗り越えた子どもたちは仲間意識が強く、同窓生としての絆で結ばれているのです」
(文:鈴木絢子、撮影:梅谷秀司)
制作:東洋経済education × ICT編集チーム
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