洗足学園小、中学受験強い私立小が人気の事情 進学実績には「筑駒、開成、桜蔭…」最難関校

「いちばん重要なのは本人や保護者の希望です。学校から実力に合わないことを押し付けることもありませんが、まずは基本の学力と知性をしっかり身に付けてほしい。そのためには、低学年のうちから家庭学習を習慣づけることが必要です。小学校の勉強だけでは、やはり最難関校の入試を突破することは難しいでしょう。学校や塾に任せきりにせず、保護者の方には家庭学習に責任を持って子どもと向き合ってほしいのです」
洗足学園小では、子どもたちが家でも毎日机に向かうよう促している。日記を書き漢字練習を行う「日記漢字」や、毎月実施する独自の「筆算検定」に向けた計算練習、さらに朝読書などの記録をつける「読破ノート」など、いずれも子どもたちに日課として定着させているものだ。こうした課題のフォローのほか、返却したテストや宿題のチェックなども、保護者に求められる家庭での指導の一環だ。
iPadなどのツールも活用し、効率的なICT教育を推進
保護者も一丸となって学びに取り組む姿勢は、コロナ禍にも大いに生きたといえる。2020年の一斉休校時には、保護者の協力を得ながら、なるべく普段どおりの学びを提供することを心がけた。国語や算数といった座学の授業だけでなく、朝の会や体育の授業などもZoomを使って行ったおかげで、家庭学習でも子どもたちの生活リズムを崩すことはなかったという。
また、同校では教育のICT化が進んでいたことも奏功した。世界の潮流を鑑み、また通学時の子どもたちの荷物を減らすべく、17年からiPadを「必須の文房具」として導入。3年生の子どもを対象にした試験授業を経て、ほかの学年でもすべての教科で活用していた。
どの授業でどんなふうにiPadを使えばいいかという知見や、子どもの反応に対する教員の経験もすでに十分蓄積されており、学内の環境も整備されていた。休校明けに実施したアンケートでは、実に96%の保護者が「学校の対応に満足している」と回答したそうだ。現在は2年生以上が1人1台のiPadを所有しており、1年生も適宜、学校備品のiPadを使用して授業を受けている。

「昨年の夏にすべての普通教室を改修し、プロジェクターとiPadをつないで投影できるようにしました。授業ではICT補助担当の教員を配置し、子どもたちの機器トラブルのフォローも行います。当初は知識の少なかった教員たちも非常に熱心で、今も自主的に勉強会を開くなど、試行錯誤を重ねながらICT活用の質を高めてくれています」(吉田氏)
受験は心を成長させる手段、育てたいのは社会のリーダー
吉田氏は「中学受験をよしとしない風潮があることもわかります」と言ったうえでこう続ける。