アルピナ「B8」超高級車2557万円の揺るぎない価値 最高峰の機能・性能、誰がどう買っているのか
ニコル・オートモビルズに問うと、ライバルはポルシェやアストンマーティンやマセラティであるとしか言わないのだが、多くの消費者が比べたくなるのはBMWのハイエンド・スポーツモデルである「M8 グラン クーペ コンペティション」だろう。念のためこちらのスペックも代表的なものを記すと、価格が2437万円、B8と同じくV8ツインターボであるエンジンの出力特性は最高出力460kW(625ps)/6000rpm、最大トルク750Nm(76.5mkg)/1800〜5860rpmと、わずかに異なる。車両重量2000kgとややアルピナより軽量で、タイヤ&ホイールのサイズは20インチとなるのが特徴だ。
「B7」2597万円のほうが若干高額
途方もないスペックのB8 グラン クーペだが、価格的には従来からBMWアルピナのトップレンジを担う「B7」のほうがほんの少しだけ高額で、そちらは2597万円とされている。
それは意図的なものなのだろうか。この日の発表会でホスト役を務めたニコル・オートモビルズのミヒャエル・ヴィット副社長に尋ねた。BMWアルピナ、フェラーリ、ロールス・ロイスの営業責任者から今年4月に現職へ昇格した彼は、BMWドイツ本社での勤務ののち、BMWジャパンで5年にわたりアフターセールス本部長を務めるなど、インポーターやメーカーサイドでの経験も豊富だ。
「おっしゃるとおり、意図的な設定です。長い議論を経て決定しました。B7はアルピナにとってトップ・オブ・トップであるべきで、B8はいわばプリンスのような存在として、ポジショニングを明確に区別したかったのです。私たちはハイラグジュアリー・ビジネスで戦っており、ほんのわずかな違いにも敏感にならなければなりません。あなたがこの価格差に気づいたということは、それが重要だということなのです」
超高級車ビジネスについて、彼に聞いてみたいことがあった。車両価格が2000万円を超えると、途端に売りにくくなる、と、ある自動車ディーラーの営業担当者が話していたのだが、これは本当なのだろうか。
「そのような壁が決まった価格帯にあるわけではないと私は思っています。“億ション”に住まれるような特別なお金持ちを対象とした場合、いまや2000万円のクルマは特段高価なものではありません。しかし2000万円台の車を買うときに重要なのは、その車の希少価値が高いこと、つまり限定生産であり、個々のお客様のニーズに合わせたものであること、そして個性的なイメージを備えていることだと思います。つまり、クルマがお客様に合わせなければならず、その逆はありえないのです。それが2000万円台のクルマの大きな違いだと思っています」
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