徳島から「超名門スタンフォード合格」女子の正体 「日本の高校生」に希望、松本杏奈という未来

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「地方女子」の星が描く夢は、果てしなく広がる

松本さんは今年9月から米国で学ぶ。スタンフォード大学で研究する予定の学問は、ヒューマン・コンピューター・インタラクション(HCI)。触覚を用いて目や耳が不自由な人にも情報を伝えられるインターフェースデバイスについての研究を行っていきたいという。

「私の理念は、誰も取り残さない世界を構築していくことです。そのためには既存のテクノロジーを進化させる必要がある。テクノロジーは、人間がより快適な生活を送るためにあるのであって、例えばテクノロジーを使う際に障害に直面してしまうのは違う。今は研究者になって、その課題を解決したいと思っていますが、あくまで目標は、“研究者になること”ではなく、“課題を解決すること”なので、将来は研究者をやっているかもしれないし、起業しているかもしれないし、アーティストをしているかもしれません」

地方から米国の名門大学進学を果たした松本さんは、いわゆる“リケジョ”でもある。しかし、なぜか日本では女子が理系へ進むことへの理解が不足している状況があるのも事実だ。本当は理工系の大学に進みたいのに、断念するケースも少なくない。

「私も当初は、女子は体力がないから最後まで耐え抜けない。だから理系は無理だと反対されました。世間では女子は潰しが利く職業につくべきだ、ともいわれる。でも、女子全員がそうである必要はないはずです。理系も女子だからできないわけじゃない。人類の半分は女性なのに、女性に道を開かない理由はありますか? 地方だから海外の大学に進学できない理由もありません。その人にしかできないこともあります。才能がある人には道を開いてあげるべきです」

「自分が変えなければ」という、強い決意がにじむ

そう言う松本さんに海外の大学を志望する後輩たちに向けてアドバイスをと聞くと、次のようなコメントが返ってきた。

「受賞歴がないから、スコアが足りないから、希望の大学にいけない。そう思うのは、これまでと同じ戦い方をしているからです。もしそれで勝てないと思うなら、戦い方を変えればいい。戦い方は決められていません。自分なりのオリジナルな戦い方をつくればいいのです。自分の好きなことを究めれば、道は開く。自分の好きな環境で好きなことを学ぶためにも、きちんと自分と向き合ってほしいと思っています」

そう語る松本さんの目は、はるか先の世界を見つめている。彼女の中に、日本の希望が見えた気がした。

松本杏奈(まつもと・あんな)
18歳。徳島文理高等学校を卒業後、2021年秋より、米スタンフォード大学進学予定。柳井正財団第5期生。高校時代に高校生向け研究プログラムを主催する団体IHRPを友人らとともに立ち上げ、現在はNPO化し、理事に就任。芸術活動もずっと続けている。今後学ぶのはHCI。触れるものを作るのが好き。「誰も取り残さない社会と技術と芸術を」がモットー

(写真はすべて松本さん提供)

制作:東洋経済education × ICT編集チーム

東洋経済education × ICT

小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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