徳島から「超名門スタンフォード合格」女子の正体 「日本の高校生」に希望、松本杏奈という未来

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この間、松本さんは「アジアサイエンスキャンプ」のほか、国立情報学研究所グローバルサイエンスキャンパス「情報科学の達人」プログラムや「東京大学グローバルサイエンスキャンパス」にも参加した。また現在はNPO化し、理事として関わっている、IHRP実行委員会(現IHRP)を友人と一緒に立ち上げた。IHRPでは、昨年度「海洋プラ問題を解決するのは君だ!~高校生×研究×社会問題解決プログラム~」を開催している。自分の興味や関心を、行動に変えていった。同時に、さまざまな実績を積み上げていったのだ。そこには戦略があった。

「海洋プラ問題を解決するのは君だ!」での一コマ。純粋に、やりたいことを続けてきた

「世界には本当にすごい人たちがたくさんいます。とくに米国の名門大学の受験の合格者の中には、国際的な受賞歴があるなど、輝いた経歴がある人がゴロゴロいます。私には、そのような受賞歴はありませんでしたが、とにかく熱意はあった。熱意は決して負けていないと思っていました。輝く受賞歴を持つ彼らと同じ土俵で戦うならどうすればいいか。熟考した結果、私は“自分で新しい物差しをつくればいい”と考えたのです。受賞歴で勝てないならエッセーで勝とう。熱意で勝とう。そう考えました。エッセーや面接では『私の熱意は世界一』であることを強調し、その熱意の根拠は過去の行動にある。世界を救いたいから、こんな取り組みを行ってきた。そこを必死に説明しました。ほかとは比べられない“物差し”で勝負したのです」

そのような圧倒的な努力が実り、松本さんはスタンフォード大学に合格した。さらに、柳井正財団から全額給付の奨学金も受けることが決まっている。そんな松本さんは、子どもの頃から行動的だったのだろうか。

既存の常識は、本当に常識なのか?

「子どもの頃から、とにかく好奇心が強かったですね。やってはダメと言われることが、なぜダメなのかを確認したくて、電動鉛筆削り器に指を入れるようなタイプの子どもでした(笑)。小・中学校の時は本当に問題児で、小学校の入学式では起立と言われて、いすの上に立ったことがあります(笑)。自分では机といすの間が狭いと思っていすの上に立ったのですが、先生からは『いすの上に立て、とは言っていない』と怒られました。でも、『いすの上に立つな』とは言われてないと反論するような、そんな風変りな子どもでした」

とりわけ数学が得意だった。また、既存の常識が、本当に常識なのか、つねに考えてみる好奇心があった。

「私は、見て理解し、記憶するタイプ。ある日、ノートに授業を書き写すのって、本当に必要なのかな?と感じてしまった。それからは自分に合った方法で勉強しようと思い、ノートは取らず、黒板に集中して授業を聞き、理解して勉強をしました。また、私の通っていた高校には、ディスカッションの授業がなかったのですが、生徒が生徒に授業をするプログラムがあったので、私はディスカッション型の授業をしました。みんなでディスカッションしながら勉強するのは、とても楽しかったですね」

ほかには、と続ける松本さん。驚くことに、英語も苦手だったのだという。

「中3のころは、英語が苦手だったのですが、ある日、X Japanの歌で記憶していた、“Brain”という単語が脳という意味だ、と覚えていたことを先生から褒められて、やる気スイッチが入り、最終的に学年上位の成績を収めることができたんです。また、英文和訳より英語のみで意味を理解するほうが得意だったのですが、こちらも先生から“ネイティブ脳”だと褒められたことで、逆に強みだと思うようになりました。自分のよさを引き出してくれた先生には感謝しています」

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