留学経験ゼロで「ハーバード首席卒業」の日本人 バイオリニスト廣津留すみれさん語る、自学力

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小学校から、大分県の高等学校を卒業するまで公立の学校に通い、独学で米ハーバード大学に現役合格。2016年にハーバード大学を首席で卒業後、バイオリン専攻でジュリアード音楽院に進み、またも首席で修士課程を卒業したすごい日本人がいる。バイオリニストの廣津留(ひろつる)すみれさんだ。現在は、米ニューヨークで音楽コンサルティング会社を起業し、バイオリニスト、起業家、執筆者、教育者と多岐にわたって活躍している。彼女をここまで導いた力は、何なのだろうか。20年3月から一時帰国中の彼女に、世界基準の学びと、数々の成功を支えた思考方法について話を聞いた。

留学経験ゼロ、塾にも通わずハーバード大学合格

小学校から高等学校まで、地元大分県の公立学校に通うというドメスティックな環境から、独学、かつ現役でハーバード大学に合格、さらには首席で卒業した廣津留すみれさん。ハーバード大学に入学するまで、海外留学はもちろん、塾に通った経験もなかったという。そんな廣津留さんは、どのようにして、ハーバード大学に導かれたのだろうか。

「日本の大学を受験するのと、基本的には変わらないかもしれません。通っていた高校の三者面談で、突然ハーバード大学に行きたいと言い出した私に、先生が『前例がなさすぎてこちらではサポートできません』と言われたのを今でも覚えています。先生も突然すぎて驚かれたのだと思います(笑)。ですので、出願に当たって必要な書類や方法はネットで調べて、ToDoリストを作り、一つひとつ準備をしました。先生に推薦状をお願いしたり、インタビューに備えた面接の練習をしたり、英作文を何度も書き直したり、やるべきことはたくさんありました」

でも、それはアメリカの高校生が、ハーバード大学に出願するときにやっている作業と同じことをしただけだと、事もなげに語る廣津留さん。

無事入学したハーバード大学での学生生活は、新鮮なものだった。

「ハーバード大学では、学生は、全寮制で学びます。1年生が所属する寮は大学の中心部にあって、約1600人ほどの新入生全員が『アネンバーグ』と呼ばれる食堂に集結し、朝・昼・夜の食事を共にする。このダイニングホールは天井の高いゴシック様式の重厚な建物で、天井から大きなシャンデリアが下がり、大テーブルがずらりと並んでいる。まるで『ハリー・ポッター』の世界ですね。そこで、『ここ空いてる?』って隣に座った人が、友達になり、そのまま生涯続く絆になっていくんです」

廣津留さんが所属していた寮の「Dunster House」。同じ寮の仲間たちと一緒に撮影
(写真:廣津留氏提供)

大学生活の1年目は、とにかく授業をこなすだけで精いっぱい。睡眠時間はほとんど取れず、あっという間の1年だったが、教授たちは、授業中に自己表現をするのに慣れていない海外からの生徒たちには、質問の仕方まで、細かく指導してくれたという。さらに寮に帰れば、寮付きのアドバイザーが困っていることはないかと頻繁にチェックしてくれるので、不安なく勉強に打ち込めた。寮生活で得たものは考えていたより大きいものだったという。

気づけば、ハーバード大学を首席で卒業していた

「ハーバード大学には12個の寮があり、学生たちは2年生になるとそのうちの1つに振り分けられて、自分の所属する寮が決まります。1つの寮には400人くらいの学生が住んでおり、寮対抗の試合があったり、ハロウィーンなどの季節イベントがあったりするので、絆が深まっていきます。それぞれ違う専門分野の勉強をし、マインドセットも上手な彼らと寝食を共にして、身近で学びながら刺激を得られたというのは大きなメリットでした。

卒業した今でも、毎日テキストメッセージをしたり、節目に現況をキャッチアップし合う友人もいます。さまざまな分野の第一線で活躍する友人が世界中にいるということは、とても心強いですね。例えば、テレビ番組でコメンテーターのお仕事をするときにリサーチとして、電話をつないで元ホワイトハウス勤務の友人に話を聞いたり、テック系の仕事をする友人にサンフランシスコの最新情報を聞いたり。ベネズエラにいる南米事情を聞くこともありますね。そういう人脈が、大学時代に築けたのは大きな財産だなと思います」

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