クーデターとタイ政治 小林秀明著

クーデターとタイ政治 小林秀明著

「ほほ笑みの国」からほほ笑みが消えた--。過去にタイを訪れことのある多くの日本人にとって、このところの大量の死傷者が出る騒乱は、理解の及ばぬものではないだろうか。また、国民に敬愛される国王による政治調停を知っている者には、その「不在」が不思議に思われてもこよう。

2006年のクーデターを挟み2年10カ月、駐タイ王国大使を務めた著者の見た当時の政治激動は、その疑問に大いに答えてくれる。何しろこの間に、15年ぶりのクーデター、総選挙、憲法改正、そして新内閣成立を、著者はそれぞれ2回経験している。

赤シャツ隊に象徴されるタクシン(元首相)旋風は、タイにおいて、特に中小政党の抗争、農民層の疎外という内政の問題点を浮き彫りにしたという。クーデターの起こるお国柄であり、力による制圧は不自然ではなく、また、今回プミポン国王による仲裁の影さえ見えない事情もしだいにわかってくる。

ゆまに書房 1890円

  

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