極私的サッカー見聞録 広瀬一郎著
全世界で200以上の代表チームが予選を戦い、その勝者が集うワールドカップ。そこには、その国の政治情勢、ビジネスが反映されている。スペインでは、カタルニアやバスクなど独立志向の強いコミュニティが存在し、その思いをフットボールクラブに託している。イングランドで1992年にプレミアリーグが開設された裏には経済的な活力を失った英国病があったし、ディナモと名のつく東欧の有力クラブやフランコ政権時代のレアルマドリッドなどは時の政治権力と密接な関係があった。
本書では、電通でW杯などスポーツ事業を手掛け、現在は多摩大学大学院教授を務めながら総合研究所を運営する筆者の博覧強記ぶりが存分に発揮されている。実際に、欧州サッカーの現場で有力者と渡り合ったエピソードやW杯日本招致活動の舞台裏などもふんだんに語られる。脱線も含蓄にあふれ、民族問題や社会思想にまで言及する大胆な一冊に仕上がっている。
東邦出版 1575円
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