子どもが自ら学び出す「協同学習」超重要な4前提 低学年も生き生きとプロジェクトを企画運営

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――協同学習を取り入れると、子どもたちにどのような変化がありますか。

「仲間同士でやってごらん」と言うだけで勝手に学びが進むことが増えます。また、互恵的な協力関係が育まれた成果だと思っていますが、けんかが起きませんね。

今、僕が担任を持っているクラスは小学2年生です。昨年からの持ち上がりで学級づくりができている状態だから可能なことですが、この春からクラスでやってみたいことを実現するプロジェクトを生活科の時間で進めています。アイデアを募り、その中からまず「1年生を招いて楽しませるプロジェクト」を選んで企画書作りから運営させてみましたが、最終的に僕がほとんど何も言わなくても子どもたちは自分たちで動いていました。

(イラスト:田中氏提供)

教室の飾り付けや段ボールでの迷路作り、図書コーナー作りなどアイデアを具現化する中で、僕への声がけも「先生、やってみてもいい?」から「こんなのやってみたよ」「一緒にやらない?」に変化していき、うれしかったです。1年生向けの招待状なのに習っていない漢字を使ってしまうなど失敗もありましたが、それもよい経験で次に生かそうと頑張っています。

――「子ども同士の学び合いがうまくいかない」という教員に何かアドバイスはありますか。

目指すところが不明確なのかもしれません。とくにコロナ禍でやりづらいという声もよく聞きますが、そういう方々は、共に学び合うことを「ペアやグループで学習することでしょ?」と単なる「形」として捉えているように感じます。

「協同学習」は「形」ではなく「考え方」「哲学」です。このエッセンスを取り入れ、自分たちが目指すところを定義されるとよいと思います。定義を子どもたちと合意形成できていれば、ガイドラインに沿った感染症対策の中でできることはいろいろあるはずで、すべての学校生活における仲間同士の関わりが協同学習になっていくと思います。

できれば職員室にも、協同学習の定義が共有されているとよいですね。適性などを考えず教員に仕事を割り振る学校も多いですが、協同の精神が浸透している学校は、仕事に対して積極的に手が挙がりますし、自然と適材適所の分担になっていくように感じます。

田中光夫(たなか・みつお)
1978年生まれ、北海道出身。東京都の公立小学校教員として14年間勤務。2016年、主に病気休職の教員の代わりに担任を務める「フリーランスティーチャー」となる。これまで公立・私立合わせて延べ11校で講師を務める。NPO法人「Growmate」理事としてマーシャル諸島で私設図書館建設にも携わる。近著に『マンガでわかる!小学校の学級経営 クラスにわくわくがあふれるアイデア60』(明治図書)
(写真:田中氏提供)

(文:編集チーム 佐藤ちひろ、注記のない写真はiStock)

制作:東洋経済education × ICT編集チーム

東洋経済education × ICT

小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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