アルピナB5とB7に見た高性能と快適の異次元両立 ゆったりした高級車ながら恐ろしく速く鋭く走る

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軽井沢の街をこのモードで走り出した瞬間、「カーボンコア」を備える大きくて硬い殻で守られたボディはゆったりと、そしてねっとりと、まるで波間に浮かぶように、静かに静かに歩みを進める。低速ながらも、その感覚はドライブの究極的な気持ちよさを感じさせる。

50km/hそこそこ、1100〜1200rpmのエンジン回転数を保ちながら街を流していると、一切のショックを感じさせないままゆったりと進んでいく。静けさの中に雨の音だけが響く。ロードノイズの遮断はB5よりも優れている。ちょっと不思議な移動体だと思わせる歩みである。低速で移動することがこれほど心地よく、ずっと味わっていたくなるクルマも珍しい。

モードを「スポーツプラス」にすると、街中のコーナーでも安定感が増すのがわかる。そのB7を峠道に持っていくと、盤石の運動性能を楽しむことができた。

乗り心地がソフトな割に山道でも非常に安定

快適性に振っただけのクルマであれば、濡れ落ち葉の積もった山道では心もとないシーンがよくあるものだが、このB7は4WDシステムをB5以上に車体の動きを安定させる方向で活用し、強力なエンジンをまったく持て余さないほどグリップレベルが高い。むろんB5より235mm長い3210mmというロングホイールベースも効いているのだろう。乗り心地がソフトな割に、ブレーキング時の姿勢変化が極端に大きくなることもなく、非常に安定している。

高速道路では同行者に運転を任せてあえてリアシートに乗った。B5よりほんの少しエンジン回転数が低く、いっそう静かな環境である。ソフトな枕と背もたれが気持ちいい。ふんわりと肩を包まれて、飛行機のファーストクラスを思い出させてくれる。遠方への移動ツールとして最上の部類である。まぶたが重くなってきたら、きっと上質な眠りを得られるに違いない。

B5はB3の延長線上にあって、エンジンの魅力を中心に磨き上げたスポーツサルーンといえる。B7は、アルピナという服を着ながらも、快適性を完璧に仕立てて、そのうえでスポーティネスも楽しめる、本当の意味での一挙両得を狙っている。B3とB5の関係を数字であらわすなら、まさに「3」と「5」という感じだが、B7には「9」を献上してもいい。

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運動キャパシティの高いシャシーを身に着けて、かつ快適性も得ようとすると、普通は難しい。しかしB7はエアサスペンション、可変ダンパー、専用チューンのタイヤ、静かに作ったエンジンとバランスの取れたシャシーによりそれを見事に両立させている。

アルピナの生産台数は少ない。しかし運動性能と快適性をこれほど高いレベルでバランスさせている点で、高級車の世界に投げかける波紋は決して小さくない。

田中 誠司 PRストラテジスト、ポーリクロム代表取締役、PARCFERME編集長

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たなか せいじ / Seiji Tanaka

自動車雑誌『カーグラフィック』編集長、BMW Japan広報部長、UNIQLOグローバルPRマネジャー等を歴任。1975年生まれ。筑波大学基礎工学類卒業。近著に「奥山清行 デザイン全史」(新潮社)。モノ文化を伝えるマルチメディア「PARCFERME」編集長を務める。

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