小中「1人1台端末」シェア争奪戦の勝者と敗者 GIGAスクール、43自治体が納品完了ならず

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OS別では、やはり「Chromebook」が圧勝

では、学校に配備されたのはどのような端末なのか。それについては、ICT分野専門の市場調査コンサルティング会社であるMM総研が、昨年11月から今年1月にかけて実施した「GIGAスクール構想実現に向けたICT環境整備調査」を見るとわかる。

全国1741すべての自治体を対象に行われたこの調査では、1478自治体が端末の導入状況について回答している。それによると、Google Chrome OSの端末は327万8110台に及び、全調達台数の43.8%のシェアを獲得した。Google Chrome OSの端末とは、すなわち「Chromebook」のことだ。

これに次いでiPadOSの端末は210万7935台で28.2%、その次がMicrosoft Windowsで210万1357台で28.1%となっている。とにもかくにも「Chromebook」の圧勝といえる。

Google Chrome OS端末は、立ち上がりが速い、価格が安い、データをクラウド上で管理するため端末を紛失したり壊したりしてもデータを消失するリスクが低い、などの特徴がある。MM総研が20年10月に行ったOS評価調査でも、クラウド活用、運用管理、セキュリティーなどで好評価だったとされる。

この調査によれば、とくに人口密度の高い都市部で「Chromebook」を採用した自治体が多かった。逆にMicrosoft Windowsは地方での採用が多い傾向がみられ、iPadOSの端末は小学校低学年や特別支援学級、特別支援学校などキーボードレスでの入力活用を想定するケースでの採用が多い傾向があるという。

GIGAスクール構想向けクラウドサービスの利用状況については、Googleが提供している「G Suite for Education」を利用している自治体が最も多く、54.4%に達している。次いで多いのは「Microsoft 365」で38.4%となっている。どちらも利用していないは14.8%であった。

クラウドの利用率が高いことがわかるが、いまだにクラウドの利用についてはセキュリティーを問題視して学校での利用を禁止している自治体もある。だが、新型コロナ禍でクラウド化は一気に加速している。文科省も、クラウドを適切に活用することで、より効率的にICTを活用した学習環境の整備を進めることができ、教育現場の改善に向けた有力な解決策となるとしている。デジタル庁が設置されれば、学校でのクラウド利用がいっそう進む可能性もありそうだ。

メーカー別ではAppleがトップに

MM総研は同じ調査で、GIGAスクール構想で学校に導入される端末のメーカー別出荷台数も1480各自治体にヒアリングしている。それによると210万7935台でシェア28.1%を占めトップに立ったのはAppleのiPadであった。この結果については、OSではGoogle Chrome OSの端末の圧勝となっているのになぜ、と疑問を抱くかもしれないが、Google Chrome OSを搭載している端末は複数のメーカーが製造しているため、OS別では第2位につけたAppleのiPadとなったのであろう。

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