京王、小田急…業績低迷なのに「異常株高」の謎 買い材料はあるのか、それともマネーゲーム?
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、鉄道各社は本業の鉄道業で利用者が激減、さらにホテル、レジャー、百貨店といった非鉄道業でも売り上げが大幅に落ち込んでいる。2020年度の決算が過去最悪レベルになるのは決定的。コロナの収束時期はいまだ見通せず、4月からスタートする2021年度についても予断を許さない。
将来の業績は株価に重要な構成要素だ。将来の業績不安から鉄道大手各社の多くが株安に苦しんでいる。ところが、株価がコロナ前の水準に戻るほど高騰している会社が大手の中に3社ある。京王電鉄と小田急電鉄、そして西日本鉄道だ。
株価の勢い止まらぬ京王
2020年のコロナ感染拡大前、京王の株価は1月10日に6630円の高値をつけたが、その後はコロナの感染拡大とともにずるずると株価を下げ、3月13日は安値4615円と5000円を割ってしまった。
ところが、その日を底に京王の株価は上昇に転じた。3月19日には終値で6000円台に戻し、権利付き最終日の3月27日の高値は6690円と、コロナ前の1月高値を超えた。
さらに、2020年度4〜9月期決算が発表されたあとの11月10日には、株価は終値で7050円に達した。その後も株価の勢いは止まらず、2月12日の株価は8620円だ。
京王が公表する2020年度の業績予想は売上高が前期比25%減の3250億円、営業利益は250億円の赤字だ。来期の業績が京王だけコロナ前の水準に戻るという要因も見当たらない。業績という点では、南海電鉄は2020年4〜9月期決算において、JR・大手私鉄の中では唯一の営業黒字を実現、通期でも営業黒字の見込み。それが株価に反映されていいはずだが、2月12日時点の株価は2708円。コロナ前の高値3010円には届いていない。
株高が続く理由について、京王の担当者は、「比較的良好な財務状態が株式市場から評価されているのではないか」と説明する。
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