ユニリーバ「高校生インターン」大好評の中身 人事担当役員が語る「伸ばすべき4つの力」
「ある時期になると就職活動が一斉に解禁され、大学生はみんなリクルートスーツを着て企業訪問や面接に出かけていく。自分もやりましたが、内心『バカバカしい』と違和感だらけでした」
さらに、新卒採用に直接関わる立場となり、面接などで多くの大学生と接して「日本の危うさ」を実感した。
「誰かのアドバイスや本に書かれていることを丸暗記して、そのまま志望動機として話す。集合時間に遅れても、連絡一つよこさず、謝りもしない。人がいるところといないところで明らかに態度が違う。そんなびっくりするような学生を目にして、私たちは何のために教育制度を作り新卒採用をしているのだろうと思いました。大学の2、3年生になってからではなく、もっと早い段階から自分の人生を考え、それを誰かに伝えられるような機会がないと、日本は駄目になるとも感じました」
そんな思いから、いつでも自分の未来を考えることができ、いつでもエントリーができる「UFLP365」(ユニリーバ・フューチャー・リーダーズ・プログラム365)を導入した。UFLP365は、選考過程をすべてオンラインで実施するため、インターネットに接続できる環境であれば、一年中いつでもどこからでも受けられる。対象者も大学1年生から既卒3年以内と幅を持たせた。
また、一度不採用となっても、1年の期間を置けば何回でも応募することができる。応募者の意志で最終面接や入社のタイミングが選べるという点も大きな特徴。大学生の場合、入社は卒業後となるが、最終面接と入社の前に最大2年の期間を空けることができるので、この期間を活用して大学院への進学や海外留学などをすることも可能だ。

「UFLP365」の選考過程。20年からすべての選考をオンライン化
「海外ではギャップイヤーなどがあるのに、日本は『ここを逃したら人生終わり』と焦ってしまう就活になっている。それは違うなと。自分のやりたいことを諦めないでほしいと思いこの制度を作りました。実際、留学をかなえた人や、再挑戦で採用となった人もいます」
UFLP365は「ユニリーバ・フューチャー・リーダーズ・スクール」とも連携しており、例えば高校生インターンシップの中でとくに優れた取り組みをした高校生には「U-PASS」という認定証を発行している。U-PASSを行使すれば、大学入学時から既卒3年までの間に、UFLP365の2次選考までが1回限りで免除されるという。
「もちろん優秀な人材を採れたらという意図はありますが、最終的にうちに来てくれなくてもいいと思っていて。U-PASSを通じて『自分は認められた』という感覚や何らかの自信を持ってもらえたらうれしい」
今の時代に必要な4つの力とは?
昨今キャリア教育の重要性が叫ばれているが、子どもたちが混沌とした時代を生き抜くために必要な力について、島田氏はこう考えている。
「そもそもキャリアとはラテン語で轍(わだち)という意味。振り返って初めて見える軌跡なんです。それを先に考えようとするから、こっちの選択のほうがよいのでは、これをやっておけばよかったのではと、いろいろ迷い悩んでどんどん不安になってしまう。スキルを身に付けるのもやるかやらないかの問題であって、必要なら後からできることです」
島田氏は、ICTも学ぶべきスキルではなく便利な道具だと考えている。
「DX(デジタルトランスフォーメーション)は、今後さらに進化していくはず。弊社でも、効率化できる作業はデジタル化していき、それによって生まれた時間を生身の人間でなければできないことに充てるということをどんどん進めています。要は、ICTはあくまで便利な道具。使えるものは使うという姿勢で接すればいい。