教育現場の連絡手段は令和時代でもやはり… ICT教育の情報収集は意欲的だが環境は未整備

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急ピッチで進められるGIGAスクール構想。東洋経済新報社では2020年5月に引き続き、12月にも全国600人の小・中・高の教員に向けた独自アンケートを実施した(2020年12月4日実施:小学校教員300、中高教員300)。この中で見えてきたのは、まだまだGIGAスクール構想の本質的な理解には周知が必要なこと。一方で、現場の先生方が積極的にICT教育への情報収集やスキルアップに取り組んでいる姿が浮き彫りになってきた。

■記事前編■

「オンライン授業不要」5月調査より2倍に増加

「GIGAスクール構想」よりも「デジタル教科書」の内容把握

「GIGAスクール構想」の認知度はどれくらい向上したのだろうか?

20年5月の調査段階では、知らないとの回答が52.8%にも上っていたが、今回の調査では、「名前を知っている」という回答が60.8%に上り、GIGAスクール構想を知らない人は40%を切るほどになっている。ただし、「内容を知っている」と答えたのは全体の43.2%、「内容を深く知っている」と回答したのは全体の19.2%にとどまった。まだまだ、GIGAスクール構想の本質的な認知には努力が必要だと考えられる。

今回の調査では「GIGAスクール構想」以外にもICT教育に関連する教育用語について調査をしてみた。その中で、「内容を知っている」として最も回答の多かった用語としては、「デジタル教科書」と「アクティブ・ラーニング」のワードであり、より実践的なICT教育へのワードについて理解が進んでいるとも考えられる。GIGAスクール構想と具体的なICTツールのひも付けをきちんと啓発する必要があるのかもしれない。

なお、そのほか内容を知っている用語としては、「新学習指導要領」「プログラミング」「eラーニング」といったワードとなった。一般企業ではこのところ語られることの多い「DX(デジタルトランスフォーメーション)」や教育界のワードとしても「PBL(問題解決型学習)」や「STEM教育(科学・技術・工学・数学を横断的に学ぶ教育法)」などの理解は極めて低い結果となった。

Officeソフトの利用は約9割もあるが…

また、現在のPCスキルについても調査では質問している。その結果を見ると、「PCのオフィスソフト(Word、Excel、PowerPoint)の使用」に関しては、約9割に当たる86.3%が扱えると回答している。「メールやチャットの使用」となると60.2%まで下がり、「Zoom、Microsoft Teamsなどのオンライン授業やミーティングをWeb上で行うことができるアプリの使用」になると43.2%と、まだまだ個人のスキルも高くはない。

令和の時代にメインの連絡手段はいまだに…

だがこれは、そもそも学校という「職場」でのICTインフラが整っていなかったことにも原因があると考えられる。

職場での連絡手段を聞いた質問では、固定電話の比率が約50%にものぼっている。メールの利用も35.2%にとどまり、チャットの利用においては、ビジネスチャット・プライベートチャット合わせても4.5%しかない。現在一般的なビジネスシーンでは、固定電話の利用はほとんどなくなり、メールの利用すら頻度が下がり、チャットの利用が増えつつある時代の中で隔絶の感がある。

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