【産業天気図・自動車】トヨタの巨大リコールが世界市場の回復勢いを削ぐ恐れ、前半は「雨」必至
10年4月~9月 | 10年10月~11年3月 |
自動車業界の2010年4~9月は雨、10年10~11年3月も雨がちな曇りと予想する。リーマンショックから1年半。急激な減産から立ち直り、世界販売も回復を始めるはずだった10年だが、トヨタ自動車<7203>の大規模リコール問題で情勢はのっけから不透明になってきた。
振り返ると08年の世界自動車販売台数は6140万台、09年は5890万台(▲4%)だった。これが10年には再び08年レベルまで戻る--これが業界のコンセンサス。一時の急激な減産で販売以上に落ちこんだ(▲14%)世界生産台数も、今年は+9%と急回復するというのがもっぱらの見立てだった。
この希望に満ちた展望の基礎にあるのは、1つは新興国の持続的成長、もう1つには北米の回復という2つのファクターである。
前者に関しては今年も前途は洋々としている。まずは中国。一時期は排気量1600cc以下の小型車減税が回復を牽引したが、最近では中型車以上も売れ行きは戻ってきており、期央の減税切れの影響は最小限とみられる。
バブル懸念はもちろんあるが、政府・当局も過熱抑制には気を配っており、現状では明確なリスク要因ではない。ほか新興国では回復の糸口がつかめないロシアを除けば、インド、南米などおおむね好調を維持している。