【産業天気図・スーパー】低価格が常態化し前半は「雨」、後半はコスト削減効果で「曇り」改善へ
10年4月~9月 | 10年10月~11年3月 |
スーパー業界の2010年4~9月は「雨」、10年10~11年3月は「曇り」になりそうだ。09年度にスーパー各社がこぞって行った値引きや低価格のプライベートブランド(PB)の大量投入で、客単価の低下が進んだ。10年度も低粗利商品が中心の薄利多売構造は続きそうだ。ただ、各社は残業時間の圧縮や仕入れ先の集約等で、経費削減により利益を確保できる状況へ向かいつつある。後半には業績悪化には歯止めがかかりそうだ。
09年度はイオン<8267>やセブン&アイ<3382>傘下のイトーヨーカ堂、ユニー<8270>など大手スーパーを中心に、数千品目に及ぶ値下げが広がり、低価格PBも拡大した。さらにディスカウント店への業態転換などもあり、低価格化が進む一方だった。今年に入り「価格だけで競争する時期ではない」(大手スーパー幹部)と方針を転換するスーパーも出始め、過剰な低価格競争は落ち着きを取り戻しつつあるが、値段の戻りは鈍く、単価上昇に伴う売り上げ回復には時間がかかりそうだ。
値上げが難しい環境下でも、抜本的な業績回復には売り上げ改善が不可欠だ。各社とも新商品の投入で、集客などによる増収策に取り組んでいる。
イオンでは、衣料品を中心にPB「トップバリュ」で新商品を投入している。同社の衣料品PBは、冬用の機能性肌着「ヒートファクト」など、前年の販売実績を大きく上回るヒット商品も出始めている分野だ。従来、イオンで衣料品を購入する比率の低かった20歳代の取り込みも狙い、3月に細身のスーツ「スリムフィット」を新たに投入。さらに夏用の機能性肌着「クーリッシュファクト」も前年の2.4倍となる600万枚の販売を目標に拡販する計画だ。イトーヨーカ堂でも、同様の機能性肌着「パワークール」を2月に早々投入、425万枚の販売を目指すという。