終電繰り上げ「10分でも助かる」鉄道現場の叫び 十数分でも時間が増えれば「週休2日」可能に?

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南千住から東銀座までは一般の電車なら約20分で着くが、保守用車のスピードは時速20~30kmで、さらに途中の工事現場などを通る際は安全確認しながら進まなければならない。東京メトロ工務部の担当者は「(途中で工事などがなく)まっすぐ来られれば30分だが、それはまれ」という。

レールなどを運ぶ保守用車。クレーンで積み下ろしをする(記者撮影)

この日、保守用車が現場に到着したのは1時55分過ぎ。撤去した部材を積んで車両基地に戻るための時間を考慮すると、新しいレールの敷設作業に使えるのは3時ごろまでの約1時間だ。日比谷線で資材の積み込みができるのは千住車両基地だけで、反対側の終点である中目黒付近の工事でも同基地から運ぶ必要がある。工務部の担当者は「(保守用車での輸送が)片道40分を超えるとかなり工程が厳しくなる」と語る。

この日交換したレールの総延長は約90m分。同日の作業は分岐器レール交換工事のごく一部で、工事全体の日数は約160日に及ぶという。東京メトロによると、大がかりな分岐器の交換は年間に数件だが、レールは全線で1年間に約60km分を取り替えており、夜間の交換作業は「ほぼ毎晩ある」という。

ホームドアも「輸送」がネック

輸送がネックとなるのは、近年設置が進むホームドアも同様だ。ホームドア本体は一般の電車に載せて終電後に取り付ける駅へと運搬するが、車両に積み込み作業ができる場所は限られる。日比谷線の場合は乗り入れ先である東武線竹ノ塚駅(足立区)近くの車両基地のみ。半蔵門線も、同線の起点である渋谷から約15km離れた東急線の鷺沼(神奈川県川崎市)にある基地でしか積み込みができないという。

ホームドアは一般の電車に積んで終電後に運ぶ(記者撮影)

ホームドアの場合、さらに問題となるのは取り付けるホームと運搬する電車の進行方向が逆の場合だ。12月12日未明、日比谷線上野駅の2番ホーム(北千住方面行き)に取り付けた際は、北千住方面から来た運搬用の電車をいったん上野より1つ先の仲御徒町駅まで走らせ、同駅で折り返してから搬入した。

同日は1時15分ごろに電車が到着し、同20分ごろには取り付け作業が始まったが、折り返しできる場所が近くにない駅はさらに時間がかかる。今年6月6日に開業した同線の虎ノ門ヒルズ駅に設置した際は、4駅先の恵比寿まで行って折り返さなければならず、「設置のスタートが2時ごろになった」(担当者)という。

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