ヴェノナ J・E・ヘインズ、H・クレア著/中西輝政監訳
第2次大戦中、ソ連のドイツとの単独講和を恐れたアメリカは、当時絶対に解読不可能とされていたソ連の暗号を、ヴェノナ作戦によってひそかに解読した。
そこでアメリカ政府は驚愕した。同盟を結んでいたはずのソ連が、実は外交、軍事、技術に関するアメリカの機密を未曾有の規模で盗み出し、あたかも敵国であるかのような諜報攻勢をかけていたのである。極秘の原爆開発計画まで筒抜けになっていた。
意外なところでは、ブレトン・ウッズ協定で、戦後の国際通貨体制を築いた立役者のハリー・ホワイトも、ソ連のスパイであった。彼は日米開戦の最後通牒となった「ハル・ノート」の素案作成者でもある。当時、ドイツと対戦していたソ連の、日ソ開戦を極力回避し、日米開戦へと仕向ける工作は成功したのである。
本書は、暗号解読を悟られないよう1995年まで秘匿し続けたアメリカの苦悩と、歴史再評価を促す多くの事実を明らかにする。
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